アムトラックの事故~アメリカの鉄道技術~
「ジョージ・モーティマ・プルマン」(George Mortimer Pullman:1831-1897)は高級グレードを意味する「プルマン」の語源となった実業家である。その始まりはアメリカにおけるホテルの如き寝台車の製造と運営にある。これが鉄道発祥のヨーロッパへ逆輸入され、「プルマンサービス」として定着した。アメリカは鉄道において牽引車だった時代があった。ちなみに日本の電気機関車も技術ベースはアメリカである。
どうしてこうなった。
制限速度が時速50マイルのカーブに106マイルで突っ込んだという。機関車はそのまま惰力で隣接線路を破壊しながら進展して止まり、客車は応じて放り出されて、一部は蹴躓くのと同じ理屈で折れ曲がった。速度制御系の安全装置はなかったという。
アメリカの交通機関は2次大戦後「クルマか飛行機」のスタイルに大きくシフトした。個人主義の国で、「行きたいところに行きたい時に」…クルマになるのは当然の帰結である。クルマではしんどい距離は飛行機でサッと飛ぶ。旅客輸送において鉄道の出番はなかったのである。それでも今回事故を起こした「北東回廊」(ワシントン-フィラデルフィア-ニューヨーク-ボストン)は、大都市の羅列による人の密度、道路の渋滞の故に鉄道が生き残った。但し
(Wikiより)
アメリカに「国有鉄道」は過去一瞬も存在しない。私鉄同士の融通で列車は行き来し、伸びてきた。ここも例外でなかったが、日本における合併メガバンクと同じ理屈で「アムトラック」(Amtrak。但し正式名称は全米鉄道旅客公社:National Railroad Passenger Corporation))の成立に至った。但し、その担当は名の通り「旅客営業」だけで、
・線路:別の鉄道会社や州政府(地図の赤線部分はアムトラック自身が保有)
・信号:アルストムシグナリング(alstomsignaling)
・運転指令:別会社(名前わからん)
・駅:駅ごと別々
(確か車両の保守も別会社である)
で、おまけに距離700キロで電気方式3種類と来ている(ドコが管理してるか知らん)。「安全システムを設置せよ」と言った場合、4つ5つの会社で資金を負担し、それぞれでコストパフォーマンスの計算が~となるのである(安全は収入を生まないのでどうなるかは推して知るべし)。
相互にお金をやりとりするが、対価相応(と各社が判断する)以上の仕事はもちろんしない。安全上、必要なことは何か、という目的から遡って所要の費用をひねり出す日本のやり方と真逆に位置する。1830年から始まったこの区間、応じたリプレースされているかどうか。90年代は停電だらけ、2000年代は脱線だらけ。
アメリカはカリフォルニアを筆頭に専用軌道式高速鉄道を導入するつもりのようだが、ご承知の通り新幹線は保守運営全段直結の最たるもので、アメリカ式とは対極に位置する。正直、今のアメリカが新幹線を運営するには「コペルニクス的転換」を要する。
( `ハ´)<一気通貫で運営までするアルMade in P.R.C.
この事故の対応で大体見えてくるのでは。
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