#目の付けどころ#
「#」を我が業界では「イゲタ」と呼ぶ。何も同業他社の名前を社内で連呼してやる必要は無いからである。
えらい赤字だが、「目の付け所が」というのは、実は創業当時からの同社の本流そのものである。ちなみに筆記用具の「シャープペンシル」は実はこの社の最初のヒット商品であり、その名が現在の社名になっていることは知っておいて良い。
電気製品はそのシャーペン工場を関東大震災で焼失してから手を付けた。エポックとしては数値表示に液晶を用いた電卓、「電子レンジ」の日本市場導入、ワープロ、そして液晶テレビが挙げられよう。既存品においても、冷蔵庫の両開き、スチーム調理、太陽光発電と商用売電など、記憶にとどめる価値のある業績は幾つも思いつく。で、「そう来たか」とニヤニヤしながら業界は対抗機能をひねり出して積むのである。ある意味、ムーブメントの仕掛け人だった部分は認める。
が。
業界が揃って首をひねるようになったのは、液晶への「一本足打法」とでも言うべき過度な偏重・投資である。液晶ディスプレイの嚆矢はパソコンモニタだが、ご承知の通りパソコンこそは「パーツ持ってきて組み合わせれば機能を発揮する」コモディティ化に火を付けた商品群であって、液晶がそこに取り込まれた時点で同じ道をたどるであろう事は目に見えていた。まして画質ではブラウン管の敵ではない。オーディオビジュアルは性能の故にそれを購入するマニアの財布から普及が始まるが、液晶は逆であった。果たしてギンギンのコントラストだけで圧倒できるわけでなく、ソニーが愚かにも三星に技術供与したところで勝負は決した。広大かつ最新の「シャープ亀山」は足を引っ張る固定資産と化してしまった。
復活の芽は、#キボウレインボウ#はあるのだろうか。
減資とかやってるが、電子レンジを筆頭にコア・ビジネスはあるので、軸足をそれらに据えて「目の付け所」で勝負する王道回帰が原則だろう。大体「総合メーカ」というのは、潮流を見ていて、流れが見えたら持てる技術集約してそこに放り込む、が現下鉄則だ。このことは、「事業の切り売り」は手札を自ら捨てる行為に他ならない(その点で例えば東芝もトラブっているが、重電部門という安定収入部門があるので、そう大騒ぎすることはない)。技術系にはうさんくさいイメージ伴う「プラズマクラスター」も、空気清浄という機能を深刻に欲している国や地域には存分に「プチぼったくり」使えるはずである(わりと酷いこと書いてる)。
ソニーなる反面教師をわざわざ追うこと無きよう。手始めにブラウン管を越えるスピードと色再現性を備えたディスプレイ(液晶とは言わんよ)、放り込んでみたまい。買うで。
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