経度と緯度の経緯
同じ字を書くことからして原初は同一と見て良かろう。「経線」は縦糸、「緯線」は横糸とあり、「経緯」は複雑な事象を解きほどいて説明すること、と辞書にあるから、面倒に秩序を与えるための発明と考えられる。「アレクサンドレッタから三日月谷を越えてラクダで3日」とか「又南渡一海千餘里、名曰瀚海、至一大國。官亦曰卑狗、副曰卑奴母離。方可三百里。多竹木叢林。有三千許家。差有田地、耕田猶不足食、亦南北市糴。」とか書かずとも、所定の場所に絶対的な座標を与えられる。以上前置き。
中間テスト返ってきて、地理の見直しをしていて、深刻な事態が発覚して頭を抱えている。娘さん、方位と経緯、地図表記上の約束としての上下左右が整理できていない。むしろ経緯という表記パラメータが「追加」されて理解を阻害している印象。ちなみに時差や時差に基づき地方時を書かせるなどの問題があったのだが、真っ白けっけと言って良い。
問い1:イギリスと日本の時差を答えよ
9時間、と答えて正解なのだが、実はそれは「時差は9時間である」という「情報」を「記憶」していただけに過ぎない。「東経135度」という情報と地球の幾何学的構造から導出されたものではない。(360/24=15、135/15=9)
問い2:カイロが午後3時の時、東京は何時か
当然何をどうして良いか判らない。カイロは東経30度と問題文に明記してあるので、ロンドンとの差分30度=2時間さっ引いても良し、(135-30)/15でもよし。だが、経線を地図の縦線と記憶しており、東西方向の区分であるという意味づけが欠けているため活用できない。
問い3:北京が元日午後11時の時、ハワイは何月何日何時か
ハワイは西経、日付変更線をまたぐ。もう何をどうしていいのか判らない。
彼女の中で何が起こっているのか。複雑な事象を解きほどいて説明を試みようw
まず「緯線」「経線」「東西南北」がバラバラである。地図を見慣れていると「東経」「西経」「北緯」「南緯」という単語で覚えているので、四象限で表記できることに気付くが、「経緯」と「方角」のセット性が出来ていないのでどう組み合わせていいか判らないのである。「白瀬矗は南緯80度に達した」どう偉業なのかそれがどこにあるのかサッパリ判らない。これが一つ。
次に、娘さんに方角を問うと窓へ向かって走る。何が行われているかというと、窓から見た前後左右に東西南北を合わせ込んでいるのである。「自分が見ている前後左右」という可動・可回転の座標系が絶対で、それが不動座標系と一致した場合のみ、方角について正しい答えが得られる。従って、家の中にいて窓があるか、学校の構造など、類似のゼロ点を提示されない限り、校正は実施されない。
ただでさえ主観座標系を優先して東西南北の絶対系が出来ていないのに、客観座標系の表記法を提示されてスッと理解できるわけがないのである。ただこれは「お勉強」と「知っている情報」と「身体が覚えていること」の融合がされ始めたと考えてよい。但しご承知の通り、この可動・可回転の座標系を最優位に置くのは女性心理に起因するものであるから、彼女の座標系変換作業は困難を極めよう。にしても、「東経」「西経」「北緯」「南緯」しか軸線は無く、「日本は北緯と東経の国」、とさえ覚えてくれれば、後は論理的に導出できそうなモノだが。
ひょっとすると「東西南北」ではなく、麻雀の風牌の並び「とんなんしゃーぺー」の方が時計回りで単純かも知れない。
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