渡辺美里「オーディナリー・ライフ」96kHz/24bit【ハイレゾ音源再生】 @misato_official
渡辺美里、というと、ほぼ脊髄反射的に「My Revolution」なのだが。
30年前の楽曲(1986年)なわけで、歌自身は、今の、今後の、10代の感性にも響くであろうけれども、当の美里ねーちゃん本人が同じ傾向の歌を作り続けて似合うかどうかは恐らくNOで。
買い続けた側として、「ああ、そっちへ行くか」と同意を持って首肯したのが「もっと、遠くへ」(2000年)である。大編成を従えた堂々たるバラードで、サビへ終曲へと向かうに従いどんどん盛り上がって行く。それは彼女の歌声と、混ざり合う楽器群を文字通り耽溺して聞くことが出来る。オーディオマニアック的にも至福の楽曲である。
それは逆に言うと、大箱やスタジアムにギッシリ詰めかけ、全員で拳突き上げてシャウト、というものでは決してない。その代わり、日常でオーディオ機器と共にあって贅沢なひとときを与えてくれる。機械と楽曲の正のシナジーそのものである。低ビットのストリーミング、さもなきゃライブ、というある意味二極化が進む音楽シーンであるが、「高純度の楽曲を独り占めし、正確に再生したい」という欲求に駆られるものもちゃんとあるんだと教えてくれる。
前置きが長い。そんな彼女が新譜をハイレゾで下ろした。リリース4月で今さら感ありありだが、単に新譜漁りを怠っていたのと、クレカの決済月切り替わりを待っていただけである。
1.鼓動
一聴して「あれ?本当にハイレゾ?」上の方が丸い。ただ、ギター一本で綴られて行く波形のしなやかな進行はビット深度なりの傾向を示す。
2.夢ってどんな色してるの
ピアノやドラムスの鳴り方(録られ方)にハイレゾの片鱗が。しかし彼女にしては珍しい振り返る系のリリック。
3.今夜がチャンス
マイクを包み込んで歌っているのか、エフェクトか。何じゃろ、こういう、声の質が変わるような演出、演出だと判っていてもハイレゾだとひどく耳障りである。さておき、王道美里ロックである。ただ、荒ぶらず、適当にドンシャカして。
4.涙を信じない女
すげえタイトルだなおい。感覚的なリリック、リッチな演奏、屈託の無い歌い方、安心である。
5.点と線
ここで一気にワイドレンジとなり視界が開ける。楽曲の内容も含め1~5までセットの演出なら大義でござる。ちょいとマイクが負けている気がするが、あのダイナミックレンジ良く刈り取った方でござろう。声を伸ばす、トーンを変える……彼女がどんな姿勢で歌っているか目に見えるようだ。王道美里ポップ。ハイレゾの恩恵に浸れる。スイングしようぜ。
10.青空ハピネス
美里ロック。但し、長く彼女の楽曲を知る人にはニヤニヤする仕掛けが。
あ、略した楽曲は嫌いという意味では無い。んなことあらすか。オーディオ的特徴のあるもの拾っただけ。全部書いたらつまらん。
●総括
美里ヴォーカルを希望通りハイレゾ化してくれた、そんな感じ。超高音質とは言わぬ。付帯音はあるしマイクが追いついていない。が、ハイレゾの美点は備えているし、それ以上に、大人が聞く音楽・音質に成熟した、という印象が強く残る。
そうだね、
テクニクスの凄いセット買ったそこのあなた、ヴォーカルものとして似合うで、持っとき。
こんな感じで。単曲買いできるがアルバムでぜひ。その方がおもしろ楽しい。
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