リンク

  • 創作物語の館@ココログ出張所
    別途お話を書いています。携帯端末で気軽に読めそうな短いのと、携帯端末でどうにか読めそうなデータ量に小刻みに切り分けた長いのと。 メインはファンタジー、冒険、命を守る。先端科学、魔法、超能力、妖精さん、てんこ盛り、暇つぶしにでも覗いてやって。50作少々あるので。
  • 竹谷内医院カイロプラクティックセンター
    ヘルニアや座骨神経痛と闘うあなたに。ここが私の安心サポート。 (カイロプラクティックまとめ記事はこちら
  • 朋和カイロホームページ
    名古屋におけるオレのケツ腰の守護神。JAC認定カイロプラクティック。さあアナタもLet’sバキボキ

ついったー

  • ついったー(暫定運用)

めーるぼっくす

無料ブログはココログ

« ダークマター | トップページ | 数学キライのあなたと親御さんへ »

2015年7月 9日 (木)

飛べないスズメの物語

物語なら小説ブログに載せりゃええ?うにゃ、物語の体を取るだけ。

飛べないスズメが工場にいる。
近づくとバタバタとして逃げようとするが、左の翼は開くだけ。

工場の敷地の外へ出ることは生涯ないであろう。その代わり人の姿絶えないところであるから、人に近づかぬ敵の目を免れることは出来るであろう。不自由だが、危険は少ない。

芝地や草地はそこここにあるので、食い物に困ることもあるまい。屋外で菓子パンを食う社員もいるので、タイミングを学習すればパンくずなどにもありつけよう。

納品のトラックを待って大急ぎで道を横切り。おいおいパレットに載ってるのは電磁鋼板だぜ。ナイフみたいにスパッと切れる。近づくな。

剪定業者が草を刈った後、土くれで砂浴びをしていることがある。たまに雨が降れば、片隅の水たまりで水浴びをし。あまり質のいい水じゃないんだけどなぁ。

人への警戒心は持ち続けているようだ。逃げられない境遇を知っているので、あらかじめ距離を取る。野生の知恵だ。ちなみに工場には野良猫もいるが、今までは回避出来ているらしい。

その代わり常に動いていると見え、著しく体力を消費するであろう。使えぬ翼は応じた筋肉の不足を示唆する。鳥類は恒温動物だが、その温度は筋肉で作る。動かないというのは副作用を想起させる。

距離は取るが一定以上に離れはしない。人のそばが安全であると恐らくは知っている。

雨降るとスギの木の下で膨らんでじっとしている。じっとして隠れてるつもりかい?でも俺には見えてるよ。少し意地悪に見つめてやると何やら躊躇うように震える。逃げようかどうしようか、鳥でも迷うという情動を持つのか。

彼か彼女か知らぬ、このスズメを知っているという他の社員の声は聞かぬ。傍目にはチョンチョン散歩のように見えるであろう。飛ぶかどうかまで見届ける者はない。

そんな怖そうな目で見るな。お前のディテールを見ているだけだ。毛づや悪いしやっぱ小柄だよな。でも、お前逃げちゃうから、何も出来ないぜ。

午後、彼か彼女か、インバータドライブで轟々回る大きな室外機の下で目をぱちくり。

生きろよ。

« ダークマター | トップページ | 数学キライのあなたと親御さんへ »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 飛べないスズメの物語:

« ダークマター | トップページ | 数学キライのあなたと親御さんへ »

2023年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最近のトラックバック