冥府の王、いきなりラブリー

アナタは歴史的瞬間に遭遇した。１９３０年、クライド・トンボーが当時最新だった天体写真技術を使い、目視を繰り返した見つけた14等級は、２０１５年、探査機「ニューホライズンズ」によって、ようやく地形を見るに至った。

発見時。

２０１５年７月１３日に姫路市「星の子館」さんの１５センチ望遠鏡に高感度撮像システムでデジタル撮影。

ハッブル。１４等星とはこういう暗さ、そして冥王星とはかくも遠く小さき存在なのだ。

そして今、彼、は「太陽系の惑星」としてはリストされていない。軌道、大きさ、等の要素から、海王星の外側に１０００から確認されている「太陽系外縁天体」のひとつで、1930年に先んじて発見されただけ、とした方が、分類上しっくりくると分かったからだ。天文学は理屈こねる時は感情抜きで良いので、今そのことを初めて知ったアナタは学術的にはそういうもんだとして記憶を置き換えて欲しい。ちなみに彼は以降「dwarf planet」（和名「準惑星」命名＠渡部潤一国立天文台副台長）の「1番」ということになっている。

冥王星とその衛星群。この中では冥王星本体とカロンがずば抜けて大きく、またこの二つは「二重惑星系」と言って良く、共通の重心を持って互いの周りを回り合っている。大気すらも共有しているとか。

ニューホライズンズ写真に着色。冥王本体に大きなハートマーク風の地形があって「あらかわいい」と話題なのだが、氷の塊、という見方が今のところ有力。

地球と比較。月が地球の１／４という寸法比をご存じの方多かろう。冥王星はお月様より小さい（この辺は「太陽系の惑星じゃないね」という説得力の一つ）。公転周期２４７年。従ってトンボーの発見位置から１／３も進んでいない。但し海王星の内側に軌道が入り込む期間があり、２０世紀末にこの区間を通過、１９８４年に太陽に最も近い「近日点」をパスした「すいきんちかもくどってんめいかい」と言い換えた人もあるだろう。が、今「めい」はそもそも言わなくて良い。短歌下の句七七のリズムを持っていたので（字余り字余りだが）、覚えやすかったが、調子外れにぶった切られることになった。

以上速報値。ニューホライズンズは光の速さで５時間半掛かる距離にいるため、電波が弱く、通信のビットレートが確保出来ない。なので、撮影し、メモリカードに書かれたデータは数ヶ月掛けて地球に送られる。

そして似たような太陽系外縁天体を観測した後、太陽系の外へ出る。

INTERNED HEREIN ARE REMAINS OF AMERICAN CLYDE W. TOMBAUGH, DISCOVERER OF PLUTO AND THE SOLAR SYSTEM'S 'THIRD ZONE'. ADELLE AND MURON'S BOY, PATRICIA'S HUSBAND, ANNETTE AND ALDEN'S FATHER, ASTRONOMER, TEACHER, PUNSTER, AND FRIEND: CLYDE W. TOMBAUGH (1906-1997)

トンボー氏の遺灰を載せて。