アンプリファイアはドコに行くのか
デジタル段で実質増幅されることにも引っかけ「D級」とか呼ばれる。ただ、特に古いオーディオエンスーからはグレードの低い増幅回路という意味でABCDのDみたいな認識を持たれる。
D級では音楽信号の振幅(音の大きさ)を1発あたりのパルスの幅に置き換える。パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)である(パルスの数に置き換える方法もある)。一方でCD等デジタル音楽信号は、ある時点での振幅をデータで与えてある。CDでは1秒間に44100回、1回につき65536段階の振幅値を持たせる。これは当然、そのデータに応じた65536個のパルス幅を作ってやり、来た信号に合わせて応じた奴を送り出してやれば、CDから直接スピーカ信号が得られることになる。デジタルダイレクトアンプ!(キリッ
が、現実はそう簡単にはいかない。例えばこの回路において「負荷」の部分にスピーカが来るわけだが、試しに負荷を外してみよう。パルスを作る指令が来て、トランジスタQ110がオンになる。すると電流はコイルLとコンデンサC1に入り、しかしその先負荷が無いので、電流の行き場が無い。
共振とか還流とか始まるのだが、放っておいて結論だけ書くと、インピーダンス=「負荷が何Ωですか?」によって、「出したかったパルス幅」と「負荷に実際流れたパルス幅」が変わってくるのだ。スピーカーは内部に回路を積んでいるので、周波数によってインピーダンスが違う。同じ幅のパルスを突っ込んだのに得られる音響エネルギは変わってしまう。
それを嫌ったか、「デジタルオーディオ信号を直接パルス幅に変換する」デジタルアンプはこれまで殆ど出ていない。「D級」を積んだ多くは一旦アナログの音楽信号を得て、それを専用のIC回路でPWMに起こし直すという作業をしている。この際、アナログ音楽信号とスピーカに実際に流れる信号との比較を行い、インピーダンスうんぬんで発生する「変わってしまう」の補正をしている。
で、馬鹿にされるのである。100万円CDプレーヤの繊細なアナログ突っ込んでも、PWMに起こすICの精度でそこから後ろが決まってしまう。デジタルアンプと言いつつ中で一旦アナログ。また、例えばパルスを1秒間40万回、400kHzで送ると、1発のパルスは2.5マイクロ秒になるが、これに65536通りの幅を与えると、0.038ナノ秒単位で幅を変える必要があるが、それって内部回路の誤差の中に埋もれるんじゃないか。
108MHz/35bit処理ですか。それだと与える幅は34359738368通りで、対してパルス幅の素片は0.9ナノ秒になりますが。
デジタルの夜明けはまだ遠いか。
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