梶田隆章教授のノーベル賞について
こっちのが書きやすい(本当か)
核反応で「エネルギ保存の法則」が成り立たないという実験結果が発生。「目に見えない粒子がそこを持っていったと考えて辻褄を合わせた、という理論的存在が出自。
「『ベータ崩壊は原子核内の中性子が陽子と電子を放出しさらに中性の粒子も放出する』との仮説を発表した。」
提唱した人の名を取って「フェルミ粒子」と呼ばれるグループに属する。ニュートリノ(neutrino・和訳中性微子)と名付けたのもフェルミ。1930年の話。
その後1960年代までに、水と僅かに反応し(これ覚えておいてね)、粒子として実在すること、持ってるエネルギで3種類に分かれることなどが判った(各々反粒子が存在すれば6種)。
そして不思議な性質を持つこと。
・質量は0か0に近い(「合っても良いが0という証拠は無い」という微妙な言い方)
・他の微粒子と反応せず、殆どの物体をスカスカ通過する(たった今この地球を、アナタの身体を)
・ニュートリノ相互間で変身する
「電子」ニュートリノになったり「ミュー」になったり「タウ」になったり。この変身…証拠であるニュートリノ質量の発見が今回のノーベル物理学賞の直接理由である。
で、それがどれだけ「すごい」のか。
実は同様の変身は「クオーク」でも観測されていて、それによりノーベル賞になったのが「小林・益川」である。そう、同じ性質をニュートリノでも見つけたことになるわけ。となると、応じて理論(これは物理現象全てを説明するパーフェクトな理論のこと、「標準理論」という)を書き換えなければならない。そこで色々検証実験をした。太陽由来、原発由来、つくばの加速器から放り出して(地球大地を突き抜けることに注意)、飛騨のスーパーカミオカンデで捕まえる、ということもした。
スーパーカミオカンデ。
小林・益川でも出てきたことを覚えている方も多いだろう。超高感度センサをずらり並べた水槽である。この設備は他でもない、ニュートリノの「水と反応することもある」(前述)のために、じゃぁとばかりに大量の水とセンサで検出確率を上げたものだ。かくてニュートリノには質量があることが確定的になった。
「このような考えに基づいて、スーパーカミオカンデではニュートリノ振動で生成されたタウニュートリノの存在の有無を調べました。その結果、統計的にはまだ決定的とは言えないものの、データはニュートリノ振動によってタウニュートリノが生成されたとして矛盾がないものでした。今後データが増えると共に、より明確な結論が出せるものと期待されます。また加速器を用いた実験でもタウニュートリノの探索が行われており、近い将来にはニュートリノ振動の結果生成されたタウニュートリノの観測が間違いないものになると期待されています。」
(大気ニュートリノとニュートリノ振動/梶田隆章 IPMU News No. 15 September 2011)
このことは大きく次の2つの可能性を示唆する。
・「変身」がレプトンのもう片方のグループ「電子」「タウ粒子」「ミュー粒子」間でも起きてる可能性(まぁクォークとニュートリノで起きてて、この連中だけ起きないってのは「綺麗じゃない」)
・ダークマター(宇宙の質量のうち由来が不明なもの)の一種である
標準理論・宇宙構造解明に一石を投じる大発見、なのである。
しかしノーベル賞2回に寄与したスーパーカミオカンデってすげえなぁ。ちなみにこれ日本の観測技術、微細信号解析エレクトロニクスの最先端だぜ。
人がボートに乗ってるの判る?
・引用論文以外の画像ソースは東大宇宙線研究所サイト
・こっちも援用ソースとしておいておく
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