大村特別栄誉教授のノーベル賞について
「寄生虫によって起こる感染症の治療法の発見」だそうで。米国・中国人の研究者と共同受賞(大村とアイルランド系米国人キャンベルは共同研究。中国人屠は別個に研究)。なお、中国人による科学3賞の受賞は初。
「科学未来館」のノーベル賞特設サイトによれば、賞金取り分半分がその中国人教授。氏の業績は漢方薬から引っ張り出した「アーテミシニン(artemisinin)」がマラリアに良く効く、というもの。死者が42%減ったそうな。これを中心とし、熱帯地方の感染症低減に寄与した一人、ということで、大村先生が受賞、とのこと。
正直ちょっと意外だった。というのも大村さん「化学賞」の方が近いと見られていたから。要は「微生物に抗生物質を生成させる」研究をしていたのだ。「化学物質を合成するのに微生物を利用する」ちょっと変わった視点だったのだ。
とすれば、色んな微生物に色んな抗生物質を作らせる可能性が見える。そこまでは「ペニシリン」の発見の延長線。だが、現代的には、その微生物の遺伝子をいじっていると、「微生物による抗生物質のオーダーメイド」に道が開ける。その可能性・重要性にノーベル委員会が価値を見た。そんなところだろう。
・ブヨが媒介する目の病気「オンコセルカ症」に効く「イベルメクチン」を発見。また、産生する微生物の遺伝子を解析
顕著業績はこれか。ちなみにこのイベルメクチン、フィラリアや疥癬にも効くことが分かっており、フィラリアと言えば思い浮かぶイヌの他、ウシなどの家畜にも予防薬として使われる。衛生的な日本にいると殆ど分からない(青LED程のインパクトを感じない)が、熱帯地域を中心に人や家畜の命を救ってきたことがわかる(毎年2億人に投与されている)。ちなみに北里大学にある氏の銅像はブルキナファソから彫刻家が訪れて作成したという。
なお、目下、氏の業績は抗がん剤の生成に振り向けられている。まぁ、まぁいいんじゃねっすか。
■おまけ
上記画像はpdfのキャプチャ。読み進むとこういう「本人談」がある。
「ノーベル賞を受賞したシドニー・ブレナーは著書の中で「科学を前進させるのに最も適し た人物は、他の分野から参入して来た人物である」と記述している。彼自身、RNA の研究を して優れた成果を挙げた後、彼にとって異分野であった「線虫」の研究に取り組み、賞を得 た人物である。その言葉は「無知でいることの価値」と「知りすぎることによる弊害」を、如実に 言い表していると思う。ブレナーは線虫の研究をする際に、線虫に効果のある化合物の論 文を発表していた私のところにも討論に来ている。研究に関連する情報を貪欲に収集する 姿勢には見習うべきものがある。 」
ぶははw
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