寒露の候
「中秋の名月」と呼ばれるゆえんは、空が澄んできて月が綺麗に見えるからである。
(この間の「スーパームーン」状態)
一方で「秋の星座」と呼ばれる中に1等星はフォマルハウトしかおらず、明るい星が少なくて、月がいないと寂しく見える。何も秋のもの悲しさに空までシンクロしなくていいのに、と思う。
ただ星空は連続的な変化だから、夕方には夏の星座残っているし、深夜には冬の星座が出て来る。「すばる」に始まる冬の輝星たちキラキラする姿は、1年ぶりと言うこともあるか、目の覚めるような、シャキッとする感じを与える。冬は転じて1等星だらけであるが(全天21個中7つ。日本から見にくいカノープス含めると8)、寒い夜の屋外に空を見上げた者だけが得られるご褒美、というところか。但し、天の川銀河の中心はいて座の方向であるから、星自体はいて座の見える夏の方が多いということになる。最も、その数多の星々は天の川そのものになってしまって、一つ一つは切り分けられないのだけれど。
秋の空が綺麗なのは、晴天をもたらす主体、大陸からの移動性高気圧が乾いた空気を伴っているからである。
水蒸気が少なく、雲が発生しづらく、透明度が高くなる。その代わり、持ってくる空気は大陸深奥の冷却に伴い、次第次第に冷たさを増す。秋が駆け足で過ぎて行く最中、と言える。地球は常に赤道の熱い空気が北へ向かい、極地の冷たい空気が南へ下がろうとしている。両者拮抗するのが秋という季節で、やがて太陽光が弱まって赤道から北上する空気が劣勢となり、北から来る物ばかりになると冬だ。温暖化が進むと、「南から北」の頑張る期間が長くなるが、その冷たい空気は南下できないため溜まってしまい、頑張り期間が終わった途端、ドッと一気に南下してくることになる。すなわち、秋が短くなり、暑さ寒さは極端から極端へ振れる。この台風23号崩れがそうだが、台風(夏の象徴)が近づくや温帯低気圧に変化し、寒気を呼び込んで気温を下げるとか何の因果か。
空の成り行きは確実に「この先」を教えてくれる。いつまでも「秋」を楽しめるこの星のこの国でありますように。
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