The BEATLES1
●冒頭の能書き
「バロックからGABAまで聞く」と豪語してるくせにビートルズは実はあまり好きではない。
伝説となり絶賛されているが、音楽は感性との相性であって、その点であまり合ってない、というのが一つ。そして「オーディオソースとしての楽曲の態様」。彼らの活動した時代はモノラルからステレオへの移行、一発録音からマルチチャンネル(要はヴォーカル・ギター・ドラムスなど別々に録音して後から調合出来る)への移行期に当たるが、彼らはそこで非常に前衛的なミキシングをした。すなわち「ステレオフォニック」の音楽と接してきたので、その前衛さが「違和感」にしかならず、音楽を聞く以前にイヤんなっちゃったわけだ。マニアの悲しい病気である。
じゃぁなんでこの期に及んで買ったのか。棚の肥やしというかCDラックの肥やしというか「大体ドコの家にもありそうなもの」であり、色々引き合いに出されること多いし、現下決定版的円盤が発売され、首記「態様」の問題点が相当解決されたと言われているためだ。だったらまぁ、1枚持っていていいか、みたいな。
●音質の観点から見た概要(能書きその2)
27曲入りで「Love me do」「From me to you」「She loves you」の3曲がモノラルで、後はステレオである。ビートルズはこれまでも折に触れ「リマスタリング」「ベスト」を冠した円盤出ていたが、コレはそれらと音源が違うそうな。すなわち、「マルチチャンネル」の大元を探し出してきたらしい。でもって最新ハイレゾ対応のシステムで調整されている。その点で「ハイレゾのリリース」考えられるわけだが、流石にここまで元が古いとハイレゾの恩恵があるかどうか首をかしげる。で、CDでいいやとなった。思い入れもないしね。SHM(スーパー・ハイ・マテリアル)CD。透明樹脂の質が高く、ピット成型精度と透明度に優れ、読み取り精度向上を図っている。
●音質
幾つかピックアップして書いておく
1.Love me do
1stシングル。1962年。アナログ起こしはザラザラしてる場合が多いがこれはそうでもない。あと時代なりのレンジのナローさ感じるが、高域は意外にスッキリしている。ノイズトリートメント頑張ったか。モノラルなのだが音像ぺったり貼り付くではなく、スピーカ結んだ線より前(耳側)の空中に定位する。「前後1列に並んで」演奏し、歌っている感じ。
4.I want you hold your hand
空耳アワー「アホな放尿犯」。シングル5枚目だが、日本で初めて発売されたビートルの楽曲はこれになるそうな。1963年。ここから4トラックレコーダを使っている。ステレオミックス。すなわちボーカルが真ん中で楽器が左右に…という標準的な作りになるのだが、楽器は露骨にスピーカから放出される。つまり「置いた」だけで広がりが無い。言わばマルチモノラル。ドラムが少し縮こまり気味(スピーカの筐体の幅の中に押し込まれる)。
6.A hard days night
ジョンレノン&ポールマッカトニーという制作スタイルが確立された1枚。12弦のギターなんだと。1964年。この辺来ると「丸っこい音だが聞ける」水準となる。少し荒っぽいし、ボーカルが左右にふらつく部分もあるが、おおむねバランス良くいい感じ。
15.Yellow submarine
ボキャブラ天国「家のリビングにいるぞさぶ5人」。1966年。リンゴスターがボーカルを務める。音は壁に張り付いた感じで左右に並ぶ。が、コーラスワークだけ位相差成分を持つせいか広がって前に出てくる。この出たり引っ込んだりが計算された演出ならおもしろいが、当時の家庭音響がそこまで出せるはずがなく、まぁ、違うだろう。ただ、こう並べて振り返ると次第に音質も向上しているのが分かる。
27曲全部書いていたらたまらん。この辺にしておく。
■まとめ
オリジナルに最も近い音源掘り当ててミキシングした、という時点で現下必携と書けるか。ただ、音の振り方は現在の解釈に依っており、当時の彼らの目的と異なることは知っておくべき。むろん、現代に生きる我々はこっちの方が聞きやすいのは確かである。
ビートルズの1枚も持っておくか……なら迷わずこれ。適当にノスタルジア感じられるのもまた良い。
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