萌えの功罪
初めに書いておくが「萌え」の出自は多分にアンダーグラウンドで現下違法である。80年代のズバリ「ペドフィリア」な同人マンガで、幼女に対する性的感情をすり替える物として「萌え」と言い出したのだ(幼児体型を表す「ぷに」と合体して「ぷにもえ」などと言った)。萌えは本来草木の芽出づる有様を言うが、されば「女の子の萌芽」への感情を説明する物だという背景は納得出来ることであろう。斯くて現状の「キャラクタ化された少女に対する恋慕によく似た憧憬」を萌えというのは言葉のロンダリングに端を発する。同様に「非実在」への恋慕という許されざる、ぶっちゃけ「異常な」感情を表現するのに萌えをスライドしたのだ。ただこれはアニメに対する執着というキャッチーさと合体し、それを象徴する語として定着した。言わば本来敬語であった「貴様」がヤクザ用語に転落していったのと逆である。以上の経緯により「若干のいかがわしさ」が漂うくらいが本来の「萌え」であると理解されれば、その微妙な使いどころが納得いただけるであろう。
メグ(公式)
物議を醸している。海女を性的に見ている、海女の実像と離れすぎている、或いは双方、というのである。確かにおっぱいに目が行くが、実際の海女さんはそんな着衣ではない。ただ萌えというのは完全に純粋ではないので、萌えキャラとしては実は正統派と言える。使ったグッズとか宣伝ポスターとか、水準を外れる物では無いと思う。
ややこしい物を貼る。サインは「フレッシュプリキュア」OP歌唱の茂家瑞季である。ここにはプリキュアが3体に帽子を被った「バスむすめ」「鉄道むすめ」のフィギュアが混ぜてある。プリキュアはアニメ出自で「むすめ」は萌えターゲットである。「むすめ」はしっかりとおっぱいが表現されてある。
一方でプリキュアは左からキュアソード(子どもが人形遊びをするもの、ポーズ可変)キュアブロッサム・キュアマリン(食玩・子どもが遊ぶ物)キュアハッピー(大きなお友達が飾る物)である。こっちは美少女ではあるが性的な象徴性の表現は抑えられている。ただややこしいのは萌えの出自はロリコンなので、その抑制が逆にターゲットゾーンの需要を満たす、という部分がある。なおプリキュアの名誉のために書いておくが、大きなお友達向けは単なる3次元化・リアリティ追求の一形態に過ぎない。「オモチャっぽくないもの」を供給しようという意図による。
さぁここまで読んでアナタの目にはこのフィギュア群がどのように見えたであろうか。それがすなわち「萌えキャラ」の現下立ち位置の曖昧さそのものである。曖昧故にいろんな見方をされるので、安易に萌えに走ると思わぬ批判を受ける、という一形態がメグである。「のうりん」もそうであろう。ただ「のうりん」は、元々そういうマンガがあってのタイアップなので、知ってる人には既知なのに何で?だし、知らない人には突如おっぱい漫画でネタにされた、とこうなる。すると一周回ってプリキュアがギリギリのラインを計算されていることが見て取れる。
女性の女性性を強調して表現すると叩かれる時代になった。
(青森県立郷土館)
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