リマインド5年前~東日本大震災を振り返って~【2】
2.「宮城県沖地震」ではない(3/9)
午前11時46分。
揺れを感じる。30秒ほど小刻みに揺れた後、ぐらぐらとした震動に遷移する。30階建てのオフィスビルが揺れている。初期微動の長さと、ビルを揺るがすその力は「遠く・大きな」地震であることを示唆する。
宮城県沖がついに来たのか…一瞬、そう思った。しかしよく調べると震源がプレートの「中」だ。境目で生じる「プレート境界地震」である宮城県沖ではない。
ここで「しばらく余震が続くだろう。宮城県沖はいずれまた来るだろう」そう判断した。だが、実際にはこれが引き金で「ずるずる滑り出した」が結果であった。そう「前震」だったのだ。この後の3月9日の三陸沖地震群をピックアップするとこうなる。
地図にプロットするとこう。なお、震源は北西-南東方向を行き来している。すなわち、「前震の余震」と、11日M9.0へ繋がる「断層のずれ始め」双方が含まれている。
同じ事を兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)でやるとこう。断層に載っている。
ちなみに1978年6月12日「宮城県沖地震」の前はこう。
地震計の設置密度は異なる。もし「宮城県沖の前兆か?」と考えて検索しても、判断は付かなかった可能性が高い。
「その時これが前兆・引き金だったと知る術は無い」
このことは、「日単位」で発生を知るには、発震機構の解析、地震計の設置密度向上が必要であることを示唆する。科学振興へ政府予算を配分するに際し、「何の役に立つのか」と問う馬鹿者が少なからずいるが、逆に列島の構造を詳細に知るには幾らでも突っ込むべきであろう。なお、後の解析で「3月9日三陸沖」のうち、北西側は「余震」そして、南東側は「本震へ向かう破壊の始まり」であることが指摘されている。
ただ、地震の発震機構は常にワンパターンとは限らない。宮城県沖にしても「プレート同士の滑り」という点では30~40年間隔で同一だが、その瞬間に触れあっている(対峙している)岩盤は毎回同じではない。凹凸、摩擦係数、いずれも異なる。解放するのに要するエネルギや加わる圧力の方向も毎回違う。
詳細に知るに越したことはない。まだ、南海トラフには間に合う。
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