リマインド5年前~東日本大震災を振り返って~【3】
3.何もしなかった3月10日
この日「前震」の一つであるM6.8が起こる。M7.2の余震にしてはチト大きいのだが、2003年の宮城県北部地震がM5.6-M6.4-M5.5という起き方をしたので、特段異常とは思わなかった。
ちなみに3月10日の震源分布はこの地図の通り。矢印がその「M6.8」である。なお、9日のM7.2より震源は南西に移動している。ただ、これを見たとして「妙」を感じ取れたか(地図上にプロットする作業は2011年では手作業が必要)。
この時点で学術的な知見は以下の通り。
・三陸沖で2つの震源域が連動し、M8越えがあった可能性は指摘されていた
・スマトラ沖M9.1を踏まえ、日本でも「M9」が起きるとすれば、というシミュレーションが開始されていた。但し、その時点で推定最大の地震、宝永地震(M8.7/1707年)をベースとしており、「南海トラフでM9が起こる可能性」に視点を限っていた
・3.11の「一つ前」である貞観地震(M8.3/869年)の津波に関する記述から、シミュレーションでの再現が行われ始めたところであった
要は「M9クラス」がひょっとして、レベルであり、三陸沖×M9はノーマークだった、と言える。三陸沖は過去、複数の震源域が単独で活動していたうえ、貞観地震の学術的評価が定まっていなかったタイミングでもあり、宮城県沖が超巨大になって訪れるとは考えもしなかったであろう。
(ニュートン/2011年8月号)
そして半日、地震はほぼ黙り込む。
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