平成28年熊本地震II
大ごとになってしまった。
「日奈久の一部にとどまる」という判断は浅薄じゃないの?と書いたわけだが、震源分布は北へ広がった。それでも「2カ所動くとか聞いたことがない」とか「阿蘇山の噴火との関連は不明」とか、ちょっと今回の気象庁の対応は酷すぎる。
「別府-島原地溝帯」という言葉をマスコミや学者がドヤ顔で使っている。その前に長い視野でこの辺の地史を概観する。
まず、中央構造線という大きな断層がこのように走っている。航空写真等でも線に見える極めて明瞭な断層である。
白亜紀後期(6500万年前)から新生代第四期の始まりまでに形成された。大陸から切り離された「内帯」の東側に「外帯」が南側からスライドするようにしてくっついた。
そこに長い矢印のようにフィリピン海プレートが押し上がってきて、応じて西日本は折れ曲がって東西に長くなった。これが日本列島形成までの流れで、以後、フィリピン海プレートの衝突によって、南海トラフに代表される周期的な海溝型地震。付随する内陸地震が起きている。
で。
伊豆半島の両側に広がるように矢印を書いている。伊豆半島の割り込みで東西に押し広げられている。この部分当然割れ目となり、下からマグマが吹き上がる。箱根山や富士山はこのプロセスで形成された。西側の矢印は愛知県に「東側が盛り上がる」(西側が低くなる)動きを与えた。濃尾傾動運動という。木曽三川が西側へ揃って流路を曲げているのはこれによる。運ばれた土砂で出来た平野が濃尾平野であり名古屋である。
さて西日本では、この「伊豆半島の陥入で西側へ押される動き」と「フィリピン海プレートが南西側から北東方向へ潜り込む動き」の両方が加わっている。それらはどこかで歪みを生んで割れるのだが、当然「古傷」が割れやすい。結果、中央構造線の所々が活断層として割れ動く。すなわち、中央構造線は、元々それを作った活動は今は存在せず、その後の活動であちこちがそれぞれの条件で動いている断層。とこうなる。和歌山市付近とか特に活発な活動で知られる。
で。
九州ではフィリピン海プレートの力は南東側から北西側に動く方向で掛かっている。結果、中央構造線の西端には東から西へ動く力が大きい。
(京都大学西村准教授の研究・GPSによる地表運動のプロット)
フィリピン海プレートが潜り込む力は、九州島の下にマグマを形成し、これが弱い部分…古傷…中央構造線から地上へ吹き上げて火山を形成した。
「阿蘇山」である。このマグマの上昇は、中央構造線から九州を南北に割る方向の力を加えている。結果、中央構造線は大きな溝状に広がり「別府-島原地溝帯」を形成した。地溝帯南側にあるのが「日奈久」断層群であり、北側の断層帯が「水縄」(松山-伊万里線の一部)である。
・日奈久という断層の活動と単純視するのは見誤る恐れがある
・地溝帯全体が警戒範囲(阿蘇山含む)
・中央構造線全体まで見るのは大げさ(デマに注意)
・日向灘は「そこへ広がらないか」は見ておく必要あり
(1899-1913-1929/1931-1941-1961-1968/1969/1970-1984-1996-イマココ)
「終わった」と言い切れる知見は無い。
15時までに287回。それは、東北地方太平洋沖地震の余震ペースを思い出す。何かあったら避難出来るように準備を。そして、被災地への支援を。
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