おもちゃの危機感
ご承知の通り、「少子高齢化」で最も影響を受ける業界の一つである。バンダイがナムコとくっつき、タカラがトミーとくっついて現況は「お察し」である。
娘の成長に併せて各種の栄枯盛衰を見てきた。各種ゲーム機や「たまごっち」「妖怪ウオッチ」…何もかも懐かしい。
さて今般総合ショッピングセンターの売り場を覗いてトホホ状態になった。売り場は縮小しているし、おもちゃ自体もチャチになってコストダウンされている。男の子は「プラレール」「ミニカー」が定番で安定しており、後は1ワゴン単位でテレビのヒーローもの。女の子はネズミ屋とサンリオが強く、リカちゃん、シルバニアなど定番がつづき、テレビ連動は辛うじてプリキュアがワゴン丸ごと。アイカツは半分だ。
コストダウン、と書いた。デザインも質感も「ちゃち」である。「硬質さ」と、男の子なら「抑えた輝き」女の子なら「ブリリアントな美しさ」が欲しいのだが。着色ABS。この物質の触った時のカサカサ感は一気に期待を冷めさせる。
鉄道模型。国鉄型のセット売りと、新幹線の入門セット、がとにかく目立つ。
理由は簡単で、
・団塊世代(金持ち)は国鉄型が好き(なので抱き合わせで高値で売りつける)
・生粋の鉄道ファンじゃなくても新幹線は好きだろう。テレビゲームとどっこいどっこいの値段なら親の財布のヒモも緩むかも知れない
(とはいえこれはボりすぎ)
で、実はこっちにも「ちゃち」がある。入門セットの新幹線を走らせるとこうなる。
(ジョーシンの制御装置試作品レポートより)
短い新幹線が小さな線路をくるくる回る。本物は緩いカーブを長大編成でぶっ飛ばす。
模型がオモチャになっちゃだめだろ。
「おもちゃ」と「鉄道模型」。唐突に並べたようだが共通点が分かったと思う。安直な売上げのために本質を失っちゃダメだということ。なぜなら。
子どもは子供だましを見抜く。
「入門セットに新幹線」で見てみよう。新幹線は線路の幅や電気方式が異なり、在来線や私鉄車両と同じ線路を走る事は出来ない。そういう所を「本物っぽく」こだわることこそ、オモチャと模型の違いなのだ。全線複線高架を高速でぶっ飛ばす。
それこそ新幹線の「あるべき姿」であり、単線で3両編成ぐーるぐるなんかやってはならない。
一方。
今年のプリキュアの必殺アイテム。
宝石付け替えると反応が変わり、ピカピカ光る魔法の杖、なわけだが、これで5000円する。
「は?オマエコストダウンって」
原価下げれば利益は増えるだろうが。
さてこれ、写真だけでもプラスチック感丸出しなわけだが
作品中ではこうなる。これの「質感」期待されるべきは何だろう。
「魔法の杖」それ自体はケルトのドルイド辺りに遡るモノで、されば木の枝、或いは鉱物、オカルト性を持たせるならばオパール化したベレムナイト(直角貝の置換化石)
辺りになるか。どっちにせよ硬さと冷ややかさが欲しくて、されど金属やガラスはおもちゃとしては不適切なので。
エンジニアリングプラスチック
一歩譲ってポリカーボネイトにアルミ蒸着(要するにCDと一緒)ではあるまいか。薄膜化すればラメって光るであろう。しかもその輝きは一人一人違う。同じ製品であっても個性がある。しかも安直な塗装ではなく屈折という自然科学の法則に則り光る。
ツメが当たるとカサカサ言い、やがて金色が剥げてくる、よりナンボかマシと思うがどうか。
子どもが「欲しい」と思うモノは、
多く純粋な心にビビッドに働きかけてくる「本物志向」である。
大人がほしがるモノは子どもも欲しがるんだよ。逆に言うと、その辺で最近のオモチャはちょっと、「ちょっと一手間」が大いに不足している←ちょっとか大いにかどっちなんだ。
そも「おもちゃ」って、本物のデフォルメじゃないのか?
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