勤務中緊急地震速報始末記~平成28年4月1日三重県南東沖地震~
●概要
会議中午前11時39分。
10人だかおっさんたちの携帯が一斉に鳴動。
「お?」
「地震!?」
(いいから机の下に潜れよ)
震源ドコだ?は?三重県南東沖!?
(いいから潜れよ)
「東海地震?」
んなわきゃあるか(三重県東方沖は東南海地震である&前回東南海より70年程度しか過ぎておらず早すぎ)。さておき、いつぞやの虚報と違い、これは4月1日だがホンモノであるらしい。しかしスクショ「圏外」で分かるように、アルミのパーテーションで箱に作った会議室であって、電波の入りが悪い悪い。
確認するべくマグニチュードが知りたくて、ツイッターでテメエのアカウントが連動してあるので部屋から出て見に行く。
(いいから潜れよ)
M6.5ちょっとか。震源も浅いしさほどにはならんな。
(分析してる場合じゃ無いだろ)
「そんなに揺れません」
(潜る気は無いらしい)
「おお、揺れとる揺れとる」
カタカタ…カタカタ…。うろたえるような揺れじゃない。
結果として、名古屋は震度2~3くらい。ゆ~らゆらした「酔う」ような揺れ方は3.11を彷彿。すなわち、距離の離れた、大きな地震。「東南海が70年で来るわけねぇ」という無駄知識のゆえに調べに行ったが、それは間違いである。即、机の下。これが原則。
春休みで在宅の娘に確認。警報立ち上がったと思うが何秒で来た?
「20~30秒くらい」
地震発生から警報発表まで5.4秒。震源に近い紀伊半島先端では携帯の警報と揺れの到達がほぼ同時であったらしい。
「携帯の警報の後、揺れが来た」皆さん。それがアナタに残された「南海トラフへの対応時間」である。逃げ込める場所はあるか。
●震源分析
「震度5弱以上」になっていないので気象庁の解説が無い。自分で資料をかき集めてまとめる。
震源はここ、北緯33.35/東経136.37。深さ15kmマグニチュード6.1(画像は機械解析速報値でMは5.8)。
断層方向。「P」は押し、「T」引き。西北西-東南東に圧力軸を持つ逆断層型。
震央の存在地域と断層の運動は東南海地震を思わせる。では何か関係があるのか。
三重県南東沖M6以上(深さ50キロ以下)で検索する。1923年以降、1944年の震度6と近傍の地震は、その「昭和東南海地震」である。一方で、2004年9月にもM7級が起きている。
地図にプロットするとこう。陸に近い方が東南海の震源域で、今回の地震はそこに含まれる。ただ、東南海は深さが40キロほどと推定されており、チト違う。一方、海溝線に近い方が2004年の震源域で、こっちとは位置がチト違う。まぁ、直接は関係ない。
●まとめ
Mを5以上にするとこう。おおまかに
・1925年頃
(20年)
・1944年頃
(12年)
・1956年頃
(47年)
・2003年頃
(13年)
・2016年
規則性はない。ただ、時折起きるタイプ、としておく。やらしいのは四角形の震源分布で分かるように「それでも動かない」部分があること。固着域・アスペリティというが、逆に言うと、こいつが動き出すことこそ南海トラフ地震の本質と言える。
今日の揺れを感じた皆さんは、どうぞ今日の揺れを糧にして。それが何倍も大きく、5分間続くのが南海トラフです。そして場所により、揺れが収まる前に津波に備えて逃げねばならない。こういう「危なくはないが本物」でキチンと動けてこそ。
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