沖縄トラフという「未知」
なに?怖い事書くんじゃねぇ?怖いままでいいのか?ってか、名古屋住んでる俺なんかどーすんだよ。南海トラフについて書かなきゃ来ないのけ?
台湾でM6級の地震を2回生じた。台湾は地震国である。その島嶼は日本列島と生い立ちを等しくし、地震のメカニズム的にも同様と言って良い。台湾の脊梁山脈は富士山より高い山がそびえるが、それは活発な地質活動の裏返しである。
その造山活動で出来た「しわ」である沖縄トラフは、南西諸島の北西側を通り、鹿児島県西方より現在ただ今活発に地震活動をしている別府-島原地溝帯へと続く。沖縄トラフの活動を把握しておくのは何も知らないより絶対に有効である。
まず、地図にもプロットされている過去の地震を列挙する。昭和以前のMは後年の推定値。
1771年4月24日(八重山地震津波)
M7.4 八重山列島と宮古列島で被害。溺死者約12,000人、家屋流失2,000棟余。
1909年8月29日 沖縄島近海
M6.2 死者2人、負傷者13人、家屋全半壊106棟。
1911年6月15日 奄美大島近海
M8.0 奄美、沖縄諸島に被害。死者12人、家屋全壊422棟。
1947年9月27日 与那国島近海
M7.4 石垣島、西表島で被害。死者5人。
1958年3月11日 石垣島近海
M7.2 死者2人、負傷者4人。
1966年3月13日 台湾東方沖
M7.8 与那国島で被害。死者2人、家屋全壊1棟。
2010年2月27日 沖縄本島近海
M7.2 負傷者2人。
ちなみにここで発生する地震は次の3つのタイプに分けられる
・浅いところで発生する地震(熊本地震と同じタイプ)
・やや深いところ(地下100キロ)で発生する地震
・南海トラフ/沖縄トラフで津波を伴う海溝型地震
で、どれがどのくらいの間隔で?が欲しいわけだが、何せ沖縄は「外国」だった期間が長いこと、陸地が少なく人も少ないことから、科学的知見と呼べるほどのデータが無い。GPSで観測して動きを割り出すとか最近になって始めているが、いろんな人がいろんなことを言う。ただ明らかなのは全体に南西方向へ動くベクトルを持っていて、台湾に近い方が移動速度が速い、ということだ。この流れは熊本地震における九州島南半分の動く方向と軌を一にしている。いろんな人がいろんなことを言うのは、この動きのメカニズム・ベクトルがどこから発生しているのか、という部分だ。ちなみに「3.11」や「南海トラフ」は「引きずり込まれようとした陸地が反発して大きく動く(バネがはじけるように戻る)」と説明されるのだが、九州南半分から沖縄までは、ずっと引きずられる方向で、応じて古い割れ目(南海トラフ・中央構造線)から裂ける地震を繰り返す、とすればまぁ、全体の説明は付く。
ただ、立証するに足る知見を持つ者は誰もいない。そして困ったことに、どのタイプが今起きてもおかしくない、というのが実態。津波を伴うものにフォーカスすると、
1625
1664
1768
1771:八重山
1938:東シナ海
1966:台湾東方沖
1998:石垣島南方
こんな感じか。なお、八重山津波地震から1938年までは、何も無かったわけではなく「記録が無い」とした方が多分良い(1830年代、1860年代、1915年に地震があったことは判っている)。ちなみに、1625年では熊本、1662年には大きめの日向灘沖、1769年には日向灘沖、1939年には日向灘沖、1968年日向灘沖、1997年薩摩地方……と、この「ライン」の両端で近接して発生している。関連している、と決めつけられる証拠は何も無いわけだが、遠くの現象、と決めつけのもまた危険、であろう。
「あやふやな物言いだな」
そりゃそうよ。データが無いから確率論で物言えない。そのくらい知見に乏しい。ただ、同じメカニズムで動いているライン上にあるので、何もリアクションが無いと考えるのは危険、ということ。
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