妥当で適正な寿命
乱暴にくくると「自動車まで」の消費財は10年持てば多くの人が納得するのではないか。もちろん、「十年一昔」の言葉の通り、そこまで使うと陳腐化して野暮ったくなっている、というのもある。
真逆の代表例がこの人、アップル純正のケーブルである。1年2ヶ月という実に微妙なタイミングで裂け目を発した。その時点で悪名は既に広がっていて、後釜は迷わずサードパーティ製を選んだ。そして今日、
後釜が裂けた。長持ちしたように思ったがそれでも2年である。似たような存在にウォークマンのケーブルあるが、これは1度も「買い換え」はしていない。2010年のヒモが現役である。
スマホ本体は大体2~3年である。但し壊れるのは大体以下の連中
・電池
・物理ボタン
・画面ガラス
・バックライト
「iPhone5」が2年半で電池ふくれて「6」にしたが、電池を替えて単なるミニタブレットとして現役である。但し、電源ボタン(画面ロックボタン)は死んでいる。
液晶と電子回路は健在。
会社で「耐久性どうでもいいからとにかく安く作ったら幾らになるか?」という試みがあった。シンプルな回路で、安い部品を自動機で貼り付ける。
「で?寿命どのくらい?」
「10年は持つかと」
「過剰だろう。そこ削れよ」
仰せご尤も。なのだが、「プリント基板に部品を貼り付けて」回路を作る、という構成を取った時点で、そこは10年分の耐久性を持ってしまうのだ。「部品」自体は電気を流す部分と、そこへアクセスする接続部材とで構成されるが、小さくて密封されているので機械的ストレスは掛かりにくく、腐食性ガスにも触れにくい。しかも電気を流す部分の殆どはシリコン…すなわち「石」と来ている。
逆に言うと「寿命」を持つ部品は
・電解コンデンサ(化学反応で動くが、その物質が徐々に揮発する)
・光素子(自分の光で化学反応)
・摩擦摺動部を持つもの(少しずつ削れて行く)
となる。スマホは電池以外は何年も持つと書いたが、同じ事で、電子回路で製品を構成した以上、それだけでそれなりの耐久性を備えてしまうのである。
「はんだ塗布量をケチるとか」
「そこ狙って実装する方が難しくて高く付きます」
「電解コンデンサ安物にするとか」
「すると火を噴くレベルになっちゃうんですよ。危険回避、としただけで、性能自体は充分モノになります」
そして逆に、樹脂と金属編み物の構造部材であり、抜き差しや丸めて伸ばすなど「摩擦摺動」の環境で使うケーブルは、安物で作るとそれなりの耐久性しか備えていないのである。
まっとうに作ると充分すぎる代物になり、或いは逆に「安かろう悪かろう」になったり。性能と耐久性のバランスを「狙って」整えるのは難しいのである。
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