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2016年6月28日 (火)

外観検査の革命が来るぞ

テレビの「ものづくり」番組などで、できあがった製品をいろんな角度から見回したり、基板を顕微鏡レベルまで画面に拡大して、などという場面を見たこと多いと思う。あの作業を外観検査という。モノにより

・製品機能を損なう問題点がないか
・意匠面、出来映えの点で問題がないか

辺りをチェックする。そして現在、これらの最終チェックシステムは「人の目」である。だからテレビ映えしてよく流されるのである。

そんなもんとっくの昔に自動化されていそうな話ではある。だが、たとえば

-----------------------------

こういう「線状」の被写体が捕らえられた時、現在のキカイはこれが「傷」なのか「線状の何かが載っている」のか「板の断面」なのか理解できないのである。

そこで「ティーチングシステム」が付いている。

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(オムロンさんダシにしてごめんね)

要は「これ不良、これOK」と覚え込ませることにより、以後キカイが自分で判断する…という謳い文句の機能であるが、これがお世辞にも有能とは言えなかった。なので虚報(とりあえず不良)気味とし、最終判断は人間が、という仕組みが長く続いた。だが、人の判断は人により体調により代わるし、余計な「意思」があるので、意図するを為ざるをに関わらず「人的要因の不良」が入り込む余地があった。「急に不良が増えたので自分にせいにされてはまずいと思って不良品も良品として流した」とか典型である。

が。

ここに来て、以下のデバイスがそろってきた。

・単一の光を直線状に発生するデバイス
・超小型だが高感度のセンサやカメラ

これらを使うと、上の「-」のそばにこれらを取り付け、超拡大したり、光の反射で「凸」か「凹」か判断できるようになったのだ。「段差かどうか分からないなら段差かどうか判断できるまで近づいて拡大してしまえ」になったのである。そして、小さいので、人の頭が入らない、目が近づけられないような所にも「視力」を設置できる。

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(あいぽんでパソコン用のメモリをパシャり)

これはパソコン用のメモリであり、緑の細い線は銅メッキの配線に緑のインクを載せた状態だが、この配線や上に載っている部品の足が、

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(オムロンさんヨイショしとくわ)

こういう見え方になる。ここまで拡大できれば、流石に「線か凸か凹か」という次元は脱せる。そして

・人工知能によるティーチングシステム

こいつは光り方や影の出来方などでグループ分けする…といった単純な反応はしない。立体モデルを読み込んで基準とし、形状をスコア化し、スコア分布をデータとして持ち、分布から外れるスコアが出たら不良としてはじく、そんな仕組みになっている。熟練の検査技術者が身につける「チェックポイント」を統計データとして持つのである。従って当然、高速で精密、となる。

顕微鏡の視力を持った熟練の判断装置が製品の直近に配置される。これがもうまもなく出てくるであろう「外観検査装置」の姿である。

どこの会社でも「目視検査」は特殊技能で、ちょっとステイタスが高かった。目を酷使するので専用の静かな部屋で、就業時間にも制限があった。が、そうした苦労、および、高い技能も間もなく必要なくなる。

アナログで人力に頼っていた部分が少しずつ人から離れて行く。私たちは今「熟練工」から「精密機械が人間の限界を超える超精密機械を作り出す」時代への胎動を見ている。それはそう、トランジスタの力でトランジスタを小さく作ることが出来、小さなトランジスタで大規模な回路を容易に作ることが出来るようになり、更にコンピュータへと至った流れと同じである。

単純な機能はちっぽけになり、応じて手のひらサイズでギッシリが作れる。およそ「人が見て認識できることが必要」な機能以外は全てシュリンクする。「熟練工」を不要とすることは賛否あるだろう。だが、小さいことは一度にたくさん作ることが出来、消費電力も小さく、コストパフォーマンスは応じて高い。秀でた技能者を見つけて教育して磨く要もなく、昼夜休みなく動かせる。経営者ならどちらを選ぶか。

時代を止めることは誰にも出来ない。

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