最速の裏シンデレラ
「のぞみ64号」と聞いて「ああ」と頷かれる在京ビジネスパーソン多いことだろう。東京行きの最終「のぞみ」の番号である。東京発の最終新大阪行きは「シンデレラ・エクスプレス」とか言われるが、逆行に相当する。「逆シンデレラ」とか言う。
出張で時刻表眺めていてこの「逆シンデレラ」、特異な列車であることに今頃気づいた。
博多→東京を4時間47分で走破する。要はこの区間「最速」の列車だったのである。
暴論を吐くが、「のぞみ」が初期「ひかり」停車駅(名古屋-京都-新大阪-岡山-広島-小倉)以外に止まるのは実は好きではない。「大都市を最速短時間で直結せよ」これが「のぞみ」の唯一無二の使命と考えるからである。品川だの新神戸だの止まるんじゃねぇ。福山だ徳山だ「小駅」止まるなんざもってのほか。
とはいえ、福山(工業地帯)・徳山(石油化学コンビナート)・新山口(山口県の中核)それぞれ「乗り換えなしで大阪・東京に直結」の意義はあり、品川・新横浜・新神戸が、どうせムリして通過するほど速度が出てないということも承知。だが、その3駅に止まるゆえに、あの「500系」が時速300キロをして成し遂げた偉業…「東京-博多4時間49分」から逆に遅くなったことに歯がゆさも感じていたのだ。「のぞみ」は速度だろう。
それがどうやらこいつに限っては、「小駅」(失礼)全パスと設定し、更に東海道区間285キロ走行をもって、その500系を上回るタイムをたたき出したのである。
1975年3月10日「ひかり」が最初に博多に達した時、徐行運転区間もあって6時間56分を要した。その後2階建て「100系」で6時間を切り、今、5時間を切るのがスタンダードになってきた。
総じて「2時間」の時間短縮。昭和30~40年代に設計された軌道を車両側でフォローしての成果である。
厳選された都市の駅間を常時フルスピードで突っ走る。「新幹線」のあるべき姿が夜闇を切り裂く「裏シンデレラ」に脈々と受け継がれている。
最速もて爆走せよ。
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