ニュートン、落つ
あーあ。
って、毎月買わなくなって随分になる。最後集中的に買ったのは2011年…目的はお察し。
この雑誌の役割は教科書より上位の科学知識の頒布と、通じた「科学する心」の醸成。最新の知見速報だと思うが。
・読者が一通り知識を持ってしまった
・最新情報はネットで取れる
となると、どうしても弱くなる。「教科書より上位の知識を必要とする新しい読者」すなわち10代が欲しいのだが、親がNewton読んでいた場合、バックナンバーを見せれば終わりなのだ。親が読んでいない場合でもゲームとかアニメとか強力な「敵」が増えてしまった。それらを乗り越えて1000円の雑誌毎月買うか。子供自体減ってるのに。
電子雑誌に特化する、は一つの手だろう。科学知識は最新を早く知り(トレンド)、積み上げから目的を抽出して使うもの(アーカイブ)。手のひらに通知が届き、必要なときにさっと探せる、方が赤い背表紙積み上げておくより使い勝手は良い。ただ、企業経営が成り立つ水準かどうかは話は別だ。学者じゃないが学者水準の知識を取りに来る読者は経営に寄与できる数ではあるまい。
ちなみに「記事の作り方」の点で言うと、いつの頃だったか「最新であることをより明確に示すために2ヶ月先の番号で発行します」とか言い出した当たりから変質と違和感があった。何故か知らないが、取材先の学者や博士の発言を引用し「~と語る」をペタペタ貼り付けたようなものばかりになったのだ。応じて文字数は増えて有意な情報は薄くなる。かみ砕くとか、既存の知見との相違、確からしさの検証など、文字数を割くべき物は他にあったのではないか。
大きな声じゃ言えないが、福島第一の事故などこの雑誌の役目だったのではないか。放射能と放射線の区別も付かぬ一般市民が、東電の御用学者と反政府寄りマスコミの不安を煽る報道のごちゃ混ぜに踊らされた。そこへ「誰でも判る」まとまった1冊があればどんなに良かったか。
音楽と一緒で「今まで知らなかった新しいワクワクをもたらしてくれる」のがこの手の知識雑誌の役割であろう。ならば需要はあるはず。紙でも電子でも、紙が薄くなってもいいではないか。
「月は落ち続けている」とニュートンは見抜いた。「最先端を追い続ける」科学雑誌であれ。捲土重来を待望する。
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