若いの。待て、ちょっと待て
設計の若いのからメール。
「A社のBを使おうと思います。工場規則に従い監査の陣頭指揮をお願いします」
待てまてマテ。
程なく同送先のA社から。
「全部見ると3日掛かります全部が全部見せられないと思います」
そりゃそうだ。普通、技術の中枢をゼヒ見て下さい言ってくる工場はない。言われないことはしない。が鉄則だ。スパイがいるかも知れないし、突っ込まれて製造コストの上がるいちゃもんを付けられるかも知れないからである。従って、こっちから「ここを見たい」とお願いするのである。すなわち
1:材料と構造を調べる
2:構造を実現する方法をQC工程表に基づいて調べる
3:機能を担保する上で重要と思われる工程を見抜く
4:着目した工程の管理項目と管理方法を確認する
で、4を現地で見せてと求める。ここで問題は「重要な工程」をどう見抜くか、だ。基本的には技術発表会や技術報告みたいな論文や特許をチェックする。「ある条件」とか「特定の配合比率」とかボカして書いてある部分が、逆に言うと「守らないと性能を発揮できない/作れない」クリティカルポイントだと言える。すると「ソコを見せて下さい」とお願いすることで「こいつ出来るな」となって手が抜けないと思わせ、牽制になるし、我々の指摘やお願いを品質や歩留まりの向上につながるとして真摯に聞いてくれるのである。工場規則に従い?目的があるからやるのだよ。今回は論文が見つかったので、「ここが重要だと思うがドコが見たい?」とまずは返した。お互いクリティカルポイントと思うところを抽出し、書面で確認か、現地で確認か、確認するまでに改善してもらうか、などなど決めて行く。
さて次は「何を見るか」である。例としてプリキュアを考えてみたい。
違う。
しょうがねぇな。
「プリ・キュア」。樹脂などの「予備・硬化」処理のこと。これはノリタケ製の一例。プリキュア後、半分固めた状態で加工して再度硬化処理(後硬化・ポストキュア)を行う。これだけで以下の質問が発せられる。
・炉のスタイルはベルトコンベアで連続処理か蓋を開けて出し入れするのか
・温度と時間の管理方法は
・炉内の温度ムラの管理は
・実際に製品に加わる温度の変化はどう確認しているのか
・温度計の正確性の維持は
・製品の出来映えは製品のどの特性で決定され、それはどんな方法で確認するのか
・炉内の異物や設備変形のメンテはどんな方法か
・端数の製品を処理する場合の温度管理方法は
但し、この文言そのまま聞いても「ちゃんとやってます」としか答えないであろう。具体的に聞かなきゃダメ
Q:温度はどうチェックしてます?
A社:設定温度見てOKならチェックシートにレ点
B社:温度計の数値を書き込み
さぁアナタはどっちが「正しく管理されている」と感じる?
けってーい?
ちなみに
A社「管理温度範囲は製品毎に定められており、温度計を見て入っておればレ点です」
B社「機械の設定ボリュームを回すと数値が変わるので、ソレ書いてます」
こう書くと印象が変わったのではないか。
こういうところ見抜く能力が「技術」だ。
「丸投げするんじゃねぇ」と蹴り叱り飛ばすのは簡単だが「なぜ」を書いて「納得」を得ないと身につかない。
パーツを性能で選ぶ(ねらい品質)のは大いに結構だが、それがちゃんと一定範囲以内で得られるか(できばえ品質)確認するのが監査だ。
理論武装して行きましょう
決まった。。。
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