●冒頭の能書き
ソニーのPC用音楽再生・管理アプリは、「xアプリ」と「MediaGo」の併存が長らく続いた。
機能的には一長一短で
・xアプリ
他社機器ASIO対応(但しハイレゾでは途切れる)
アプリお任せのプレイリスト作成が有能
ネットワーク再生(DLNA)不可
・MediaGo
ASIOはソニー製のみ
ウォークマン楽曲管理標準ソフト
DLNA可能
ざっくりこう。ちなみに音楽アプリ自体はこの他にfoobar2000、AudioGate4(有料版)と持っていて、それぞれ高レートDSD再生専門、DSDディスク作成&ファイル形式コンバータと「ひとつで全部出来る」ものはない。ただ、高レートDSDやファイル変換は自分しかやらないので、混乱は生じていないだけ。これが現状。そこへ、ソニーがウォークマン新シリーズ発売に合わせ、新しい音楽アプリ「Music Center for PC」を発表し、併存から一本化を打ち出した。
これはメカにもネット知識にも疎い家族のため「MediaGoで曲を選んで、ダブルクリックすればオーディオセットから音が出る」環境をようやく整えた者としては、それが維持されるか、あわよくば上記「一長一短」が解消されるかどうか、検証と確認が絶対である。そこで公開初日8月29日、早速ダウンロードした。
結論から言うと「曲を選んでダブルクリックすれば」「他社製ASIO機器からハイレゾでビットパーフェクト再生が出来る」
ハードウェアは以下の通り
・USB系
PC→ifi Audio「iUSB3.0」(USBリピータ)→デノン「DCD-SX11」
・イーサネット系
NASアイオーデータ1万円1TB→OPPO「BDP-103JP」→デノン「DCD-SX11」
・アナログ段
SX11→アキュフェーズ「E-470」→ヤマハ「NS-F500」
SX11→スタックス
なお、USBやイーサのケーブルはそこら辺の電気屋で売ってるもので、オーディオ用と称する高額なものではない。
1.インストールから楽曲の取り込み・引き継ぎ
経緯や経過を書いてもしょうがないので結果だけ書く。ダウンロードしてインストールすると、xアプリがあれば、xアプリ登録曲を取りに行こうとする。
これはxアプリがベースだからしょうがねぇんだが、MediaGoをお持ちの場合はこれを使わず、楽曲の格納フォルダが分かっていればそこを直接指定で、またはファイル→プレイリストの取り込みでMediaGoのプレイリスト格納フォルダに取りに行けばいいだろう。この際、持ってる曲数にもよるが、全部やるとえらい時間が掛かる。特にDSD形式は1曲取り込むのに1分くらいかかったりする。なお、NASとかPC外や、デフォルト以外のフォルダに楽曲置いてる人は、「ファイルをコピーしないで取り込む」にすれば良い。
では、音出し。
2.ASIOによる音出し
音声の出力方法は、PC内蔵のスピーカー以外では
・ソニー以外も含めたASIO/WASAPI機器への排他出力
・HDMI(PCにある場合)経由WASAPI出力
・本ソフトを司令塔に、ファイル格納先からファイルを呼び出し、所定の機器で再生するよう指定するDLNAレンダラー出力
これだけ選べる。以下、最も使用例が多く、誰もがまずそれを考えるUSB経由でASIO機器に流す作業を説明する。
ツール→設定→オーディオ出力設定、にて、ドライバ組み込み済みのASIO機器が選べる。ウチの場合デノンのドライバを選ぶ。
で、ハード(ASIO機器)の電源が入り、パソコンがそれを認識している状態で、本アプリを再起動する。
これで、曲を選んでダブルクリックすれば、ASIO機器から楽曲の持つフォーマットそのままで出力される(ビットパーフェクト再生)。
なお、一般にパソコンからUSB機器に音声を吐き出す際は、パソコンのスピーカーアイコンをクリックしてこれを出し、デノンならデノンを「規定」に設定したりするが、本アプリからの音出しにおいてこの設定は触らなくて良し(スピーカーが規定のままで良い)。すなわち、上記アプリ内の設定だけで、メール着信やブラウザで見ている動画の音声などはパソコンのスピーカーから、本アプリからの音声はASIO機器から出てくる。
3.DLNA(レンダラー)による音出し
「MediaGo」では聞きたい曲をタップして右クリック、「Throw」を選ぶと、DLNAで放り込めるキカイを選んでくるというモノだったが、本ソフトでは
「設定」→「ネットワーク上の機器」を選ぶと、キカイを見つけてくるので、選んでOK→ダブルクリックで再生する。ウチの場合、OPPOのブルーレイとマランツのAVアンプが対応しているので表示される。どっちも再生出来た。
ただ、一旦再生を終えると、この接続は外れるので、毎回キカイを選ばせないとならない。ここは右クリックで探しに行ったMediaGoより操作性が劣る。
4.音質
「xアプリ」では何処をどういじってもUSB経由ではハイレゾがブチブチ途切れて再生出来ず、頭を抱えるしかなかったが、本アプリでは192/24問題なく再生出来る。音質だがスタックスを使うと何となくバックグラウンドに静かなざわつきはあるものの、クリアにカリカリに解像されたそれはデノンSX11の音である。スムーズに隅々まで音楽信号に起こされ、アキュフェーズの正確無比な増幅で室内に音を放ってくれる。音量小さくてもふくよかで立体感溢れる音が充満し、MediaGoで出力先にしていたPHA-2Aの音を寄せ付けない。まぁ値段的に負けてもらっちゃ困るのだが。ともあれ
「ダブルクリックで」「SX11から」「ビットパーフェクトの音楽再生」
但しパソコンとしての作業・動作はそのまま。
達成である。
5.小ネタと注意
①DSD11.2MHz対応だが
再生出来ないファイルもある。例えばSuaraさんの生録ファイルはエラーが出た(foobar2000では再生出来る)。なお、ウチの場合DLNAでそもそもDSD再生出来ないので、DSDはファイルの場所も変えてfoobarを使う事にしており、あまり影響は無い。
②ASIOのビットレート設定
「おまかせ」で良いが、異なるサンプリング周波数やDSDをごちゃ混ぜで再生する場合、機器によってはリレーで切って同期を取り直し、曲間でカチカチ言ったりする(SX11がこれ)。うざったい場合はここを192/24など選んでロックすると良い
③メディア共有
DLNAを組んでいる場合、設定メニューのメディア共有は許可しておくと、対応機器から逆に本アプリの楽曲リスト、プレイリストを覗きに来て再生することが出来る。家族がパソコンを占有していて本アプリに触れなくても、それら機器から目的の楽曲を再生出来る。
●まとめ
「パソコンから音楽信号をビットパーフェクトでSX11に放る」これが実現出来て満足だわ。ダラ流しのBGMがSX11→アキュフェーズとか贅沢な限り。しょうもない楽曲でさえも音質の故に愛おしい。
ちなみにパソコンからの音楽再生は「いつでも・誰でも・簡単に・問題なく」が案外難しく、これまで再生5系統(ソニーポタアン・ローランドUA-55・DLNA・HDMI・USBでSX11)抱えていたわけだが、これでUSBでSX11に押し込むか、マランツAVアンプまたはオッポブルーレイから引き出すのどっちかで良さそうだ。
PHA-2A、および本件の予備としていたifi_Audio「nano_DSD」お役御免である。システムの改変と、こやつらの転職先を考えないとならない。深刻で贅沢な悩み。
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