夫婦を更年期障害が襲う時【2】
2.症状の一形態と進行
妻の場合、前触れのような物はなかった。強いて言えば昨年来徐々に疲れやすくなり、元よりあった肩凝りが酷くなり、背中全体、腰痛へと広がっていった。
急激に変化したのは夏前。起き上がる、家事をする、買い物に行く…全てが「やりたい・やらなくちゃだができない」に陥ったのである。
「更年期障害」という言葉は知っていた。なら、「家事が出来ない/いやになる」といったキーワードを付加してネット検索である。はいビンゴ。
①肩凝り/背中/腰の痛み
②動悸/暑くなったり寒くなったり
③不眠
④「やる気」減退。応じたルーチンワークの意欲低下
妻に起こった症状を分類して書くとこうなる。女性ホルモン「エストロゲン」には骨や筋肉の劣化を抑える働きがあるが、これが働かなくなる系統が①、自律神経失調に起因するのが②、鬱傾向によるものが④、自律神経と鬱傾向双方によるものが③である。なお、肩凝り腰痛や自律神経失調、鬱傾向は「持病」として元より持っているとそれがひどくなる。このことは、それぞれ担当の医師(整形外科・心療内科)に懸かると共に、更年期障害として婦人科に通う必要を意味する。この場合、婦人科に総合判断してもらい、他の医師には「更年期障害」と前置きしてから症状の治療を相談すると良い、こうなる。婦人科に整形外科や心療内科紹介してもらってそこへ行くという手もあろう。
以上「機械的・論理的」な物言い。であるが、ここで夫の理解と補助が必要である。なぜなら多くの場合、「更年期障害」を受け入れる…医師にそう告げられることは女性にとって甚大なショックであるからだ。男性諸君、「あなたはもう精子を作れず女性に性的な興奮感情を抱くことはありません」と言われたらどう思うね?あなたのぽこちんはただの泌尿器に成り果てた…男性向けのたとえはそうなる(男は多く死ぬまでそういうことにならないと自負があるので女性を襲う事態を理解できない)。
これが「鬱傾向」に拍車を掛ける事は書くまでもないであろう。このまま元気を失うのではないか、老化といってよい変化が現れるのではないか…。鬱の心は不安なことばかりを考え、過去の失敗すら呼び出し、「あの時こうすれば」とかどうにもならんことまで無駄に思い出して後悔と屈辱を要求する。まるで「自己批判の悪魔」である。
夫がその状態を理解し、生活維持をサポートする事が非常に重要であると即座に理解できると思う。よく無理解の代表例として「サボる」「そのくらい何で出来ない」「実家へ帰れ」などの発言があり、下手すると喧嘩に発展して離婚したりする例もあるようだ。妻殿が最も苦しい時に暴言暴力吐いて放り出すのである。また、「実家へ帰る」というのは妻側が持ち出したりするが、これは個人的には極力避けた方が良い。「鬱の悪魔」の思惑通りになるからだ。何もしなくて良い何も考えなくて良い…その環境は脳を萎縮させ放題になる。
婦人科と、関連する症状に応じた医師と、実家や親族のサポートと、応じた「体制」を整えて。
我々は、迎え撃った。
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