遙かなる兄弟星
太陽はぼっち星だが、これは宇宙の中ではむしろ珍しい。お隣星である「アルファ・ケンタウリ」は三重連星だし、明るいシリウスも二重星。北極星も三重連星である。地球が地球でいられるのは太陽がぼっちの結果「丁度いいところに丁度いい大きさで丁度いいエネルギがもらえる」状態にあるからだ。仮にもう一個太陽クラスの恒星があったら、地球は灼熱の荒野か、重力の影響ではじき飛ばされて銀河の果てで凍てついているであろう。
されど、星を生み出すのは「光年」サイズの大きなガス雲だ。例えば、ただいま現在星が「量産」されている現場であるオリオン大星雲(M42)
は、20光年ほどに広がり、中心に「トラペジウム」と呼ばれる特に明るい4つの星が輝く。詳しい観測でその他にも多くの星があり、まだ輝き出す前の「星のたまご」が多数含まれていることが判っている。太陽もこれと同じく大きなガス雲から生まれたはずで、同時に生まれた「兄弟」がどこかにいる、とされていた。
2018年の観測で、くじゃく座(日本から見えない)に属する「HD186302」という番号だけの星がそれ、と判ったらしい。距離184光年。明るさは8.8等。太陽とは時速40キロ程度で遠ざかりつつある(43km/h×24h×365day×4600000000year=1732728000000000(km)/9500000000000(km)=182(Ly)……だいたいあってる=不自然な速度ではない)。
ちりも積もれば星となり、ちりも積もれば184光年。遠い遠い我らの同胞(はらから)。
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