ブラックホールを見る @cometwatanabe @agata_naoj
いややりましたねぇ←ムツ氏か
ブラックホールは光を吸い込んでしまうため見えない。このため、回りの天体やガスの挙動から重力を計算し、「ブラックホール以外説明がつかない」まではたどり着いていた。しかし何せ見えないから「百聞は一見に如かず」の証拠に欠けていた。そこで撮れたのがこれだ。世界中の電波望遠鏡を動員し、「地球全体サイズの電波望遠鏡」としてM87銀河の中心にある(はず、の)ブラックホールに向けた。そして撮れたのがこれだ。ちなみにオールドファッションのドーナツにたとえられてSNSで大喜利が展開されているが、そのドーナツの「穴」はブラックホールそのものではない。これは「ブラックホールの影」と呼ばれる、光のもどってこられない領域が浮かび上がった(沈み込んだ?)姿だ。
説明用の模式図がこれ。ギリギリを通って地球に向いた瞬間に重力を逃れた光だけ見えている。明るさに偏りがあるのはブラックホールが回転していて遠心力が働いているから。
ちなみに太陽を直径6kmまでちぢめればブラックホールになる。大きな質量の星が死を迎えると、発光する核反応の圧力が自分の重力に負けて「永遠につぶれ続けて」超新星爆発を起こし、ブラックホールになる。太陽はブラックホールになるほどの大きさ・重さではない。
一方、こういう銀河中心にも大形のブラックホールがあり、銀河に星を引き留める大きな力になっている。我々の銀河系にも中心にブラックホールがあり(いて座A*-エー・スター-)その生成過程を解明することが、銀河、更には宇宙の成り立ちを知る大きな手掛かりとなる。今のところ、宇宙創世期に銀河同士の衝突でブラックホール同士が合体した結果、などのシナリオが考えられている。M87ブラックホールの「直視」はこの辺に長足の進歩をもたらすだろう。
【用語】
M87。距離5500万光年。
おとめ座にある楕円銀河で、中心の巨大ブラックホールから5000光年以上及ぶジェットを放つ。今回の観測でそのブラックホールの大きさは400億キロ(太陽系「ヘリオスフェア」が大体このサイズ)と計算された。周囲の1000個を超える銀河と「おとめ座銀河団」(Virgo cluster)を構成する。我々の天の川銀河、お隣アンドロメダ銀河を含む「局部銀河群」(Local Group)はおとめ座銀河団と重力的に結びついており、他の100ほどの銀が群、銀河団と共に「おとめ座超銀河団」(Virgo Supercluster)を構成する。
事象の地平面(EventHorizon)ブラックホールでここを越えると光さえも外へ出られない境界線で、この内側がブラックホールの本体と考えてよい。極端に強い重力で時間の進みが遅くなっており、物質がここを越える一瞬をもし観測できた時、彼方の宇宙では永遠の時間が流れる。従って今回「シャドウ」を見せてくれた地平面ギリギリをとおって地球に届いた光たちこそは、億年の間に一瞬を駆け抜けて地球へ来た可能性がある。
★プロジェクトの写真等は国立天文台の解説記事から引用。ジェットぶっぱなすM87はwiki。
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