ひんぬー課いきもの係の仕事
ひんぬー課(仮称)いきもの係は係長オレ部下オレ任命オレ査定オレのパーソナルな部署である。ISO9001に基づきPDCAを作成し活動している(大嘘)。目的は生命体による業務妨害および所属社員の生命の危機からの守護(本当)。
15時25分。
パソコンポチポチしてたら雑木林を想起する翅音がした。ぶぉーん。クワガタ系?否否。
スズメバチだ。
「動かないで下さい!」
こんなオフィス空間どこから入った。
-以下絶対に真似しないでください-
さておき、巣のそばや集団を相手にするのは危険そのものだが、こういう迷子・一匹狼相手ならゴルゴ活動で仕留めるのが手っ取り早い。が、相手は意志もって俊敏に飛行する殺戮生物であるから、こちらも飛び道具はあった方がよい。殺虫剤が欲しいわけだがオフィス空間にそんなものはない。ただし。
電子部品冷却スプレーならあるw。かくして左手にこのスプレー、そして右手にはお掃除ロッカーから「ちりとり」を持ち、俺は雄々しく立ち向かった。
「帽子をかぶったままで、動かないでくださいね」
怒った(追い詰められた)スズメバチは黒いもの・動くものを襲う。なので人間がパニックになって逃げまどうのは逆効果で、ひっくり返して作業帽で頭隠して動かないのは被害防止の正しい対応。標的は追い掛け回す俺に絞られるわけでそれも好都合。
近づくとちり取りで殴り掛かる。ちなみにこういう場合、「一撃必殺」は考えなくてよい。それよりは下手な鉄砲で次々攻撃を繰り出す。なぜなら、ハチなので「止まってからおもむろに針出してブスリ」と考えがちだが、
・かみつく
・毒針から毒液噴射する(向こうの飛び道具)
・毒針突き出して特攻してくる
と、テメエの持ってる武器を可能な限りの方法で駆使してくるので、狙いすますなど少しでも動作を止めると隙を与える。瞬時に時速40キロまで加速して突っ込んでくる。数十センチの距離でそんな速度で機動されたら人の反射神経では無理。一方で攻撃し続けると確実に体力を奪うことができ、それは人間様相手じゃ勝負にならない。
追い掛け回して1分半。電灯のカサに止まった。
キューレイ噴射。食らえマイナス40℃。
スズメバチは昆虫のご多聞に漏れず変温動物である。とりわけ筋肉の塊を高速駆動するので高い熱産生を要求し、低温じゃ動けない。
これは11月下旬にベランダのジョウロに迷い込んだスズメバチだが、このように殆ど動けない状態である。ただ、今回は活発に動いている=熱産生がある状態を冷却であるから、-40℃は「鈍く」させこそすれ、そのままコロッとというわけにはいかない。なお、市販のハエ・カ用の殺虫剤も効くには効くが即効性はない(むしろ界面活性剤が腹部の呼吸穴をふさぐ方が致命傷)。
再び飛び上がり、しかし窓へ向かい、ブラインドの向こう側へ入った。
であればチェックメイト。ブラインドの上からちりとりを押し付ける。
ブーン…ビーン…ぴー…じじじ…。
めりっ。
。
え?残酷な奴だな?昆虫博士じゃないのか?
スズメバチはそんなヤワじゃない。
「やりましたか?」
とは隣席スマホデビュー氏。安全担当なので保安へ報告の義務がある。
「あ、手を出すのちょっと待ってください。首がもげても平将門みたいに噛みついてきますし、下半身が生きてればプスプス刺してきます」
カマキリやトンボの首を面白半分に弾き飛ばしたら残り下半分だけ生きてて恐怖した悪いお子様多かろう。昆虫は身体の節々に脳があるので、頭だけぶっ飛ばしても残りは本能だけで生きていられる。
めきめきめき。
「はい」
何したか?腹部先端毒針部分を完全に破壊した。
ちなみに頭つぶすにはトンカチが必要で、応じて頭部がまだ小刻みに震えているが、毒針が動かせないはずなので被害が生じることはない。
引っ張り出して報告用の写真。
「始末しました」
宣言して安堵の息。いきものがかりゴルゴ任務完了。今日も一日ゼロ災ヨシ。
★スズメバチは「時速40キロで直角機動ができるAI搭載超小型攻撃ドローン」とお考えを。ありとあらゆる手段を尽くし、のみならず、身を引き裂かれてもなお攻撃してきます。安易な手出しはお控えください。本当はこういう事態に備えて業者と契約し連絡手段を整えておくべきです。
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