ブルー・トレイン・ブルー
「ブルートレイン」…1958年から2016年、北海道新幹線開通まで存在した国鉄→JRの特急用寝台客車の愛称である。車体が青いので「ブルートレイン」と言う。なお、最初に夜行列車を青く塗ったのは「オリエント急行」の運転で知られる欧州ワゴンリ社である。
さておく。
「ブルートレインを長大編成で運転する」のは鉄道モデラ―の誰しもが一度は思い描くワンシーンである。一方、鉄道模型というのは限られたスペースで運転する都合上、車庫に動かしたい列車を並べて、とっかえひっかえ動かし、車庫に入りきらなかった列車と総入れ替えしてバトンタッチ、とやるのが多くみられる。もちろん中には隣の部屋を潰して全部車庫にしました…みたいな形で全コレクション常にオン・ザ・レールという御仁もござる。しかしそうすると名鉄パノラマカーの隣に新幹線のぞみ号がドカーンと鎮座、みたいな、実際にはありえない状況が発生してウソっぽくなる。なので、今日は名鉄、とか、今日はブルートレイン全盛時代の東海道線とか、テーマを決めて限られた車庫に応じた列車を侍らせる。それはそれで同じ線路配置・ジオラマであっても雰囲気が変わるので新鮮さを失わず合理的な方法である。
さておく。
その場合、運転方法は次のようになる。車庫から出て来て発射、ぴゅう、ちゃうわ発車、終点まで走って折り返し、車庫に戻る、である。この場合、車庫のどこに入るかは決まっておらず、戻ってきた列車は空いてる線に入って次の発車まで待機、そしてまた出て行く。
すると。
朝から晩まで動き続ける普通列車・特急列車はそれでスムーズに運用できる。が、夜行列車は一度走ったら昼間は寝てることになる。「1日1回」(またはそれを模した模型の中の時間)以上の頻度で走らせるとウソっぽくなる。日中用の列車を引っ込めて、あるいは駅のホームでおやすみ状態にしてから走り始める…くらいで丁度いい。すなわち「1日1回の出番のために専用の昼寝線を用意してやらなくてはならない」こうなる。これは室内の限られたスペースをやりくりしてひねり出した車庫線が常にブルトレの昼寝で使えないことを意味し、線路の利用効率が非常に悪い。称してブルートレインの憂鬱…ブルー・トレイン・ブルーであるw
それで。
実は同様の問題は現物でも存在し、悩んだ当時の国鉄は「日中は座席特急としても使える寝台電車」を開発した。
581/583系というのがそれだが(写真は模型メーカのサイトから)、夜行で遅れると日中の運転に間に合わないとか、構造が複雑でメンテが大変など少々無理があったのと、座席時の居住性(例:座席がリクライニングしない)などから、後継は作られないままに終わった。なお、「寝台電車」としては2019年現在「サンライズエクスプレス」と称する285系というのがあるが、これは寝台専用で日中は車庫で昼寝している。
品川の車庫で1本だけ場違いな緋色の2階建て電車を目にした方は多いであろう。
戻って。
建設中の土日鉄道では「駅で夜明かし」も含めて10本を出しっぱなしにできるよう計画した。従来6線であったから、
ブルートレイン2本が専有した程度では大きな問題は無いように思われる。しかし。
ブルートレインは機関車が引っ張るのだ。従って、終点や車庫では、いったん機関車を外して、反対側に動かして(あるいは別の機関車を出動させて)逆向きに連結して、という作業が必要になる。「機回し」(別の機関車を使うのは「段落とし」)という。当然、ブルートレインの横に機関車が折り返して走って行くための線路がさらに必要になる。
この写真の場合、左に映っている3本の線路は単なる行きどまりになっている。機関車で突っ込むとバックして出てこないとならない。右側のホームのない2線は貨物列車を念頭にこの「機回し」を前提にしてある。こういう機回し可能な、しかも昼寝対応の線路は4線しかない。ちなみに、東京駅では品川駅の車庫から東京駅へ出てくる機関車と、東京駅から出発する機関車を別々にしていたし(あらかじめ逆向きの機関車を待機させておいて段落とし)、大阪や博多ではそのまま車庫(宮原や竹下)まで引っ張って行って車庫の中で機回しした。土日鉄道ではどちらもできるが、それにしても4線中2線を占有してしまうと、残った2線で運用できるのは貨物列車1本になってしまう。え?2本じゃないのか?発車した貨物列車が終点で折り返ししようとしたとき、終点の機回し対応線が空いてないと入れないじゃないのさ。さもないと常に貨物列車はお互い同時に発車してすれ違って反対側で終着する運転パターンに限定されてしまって面白くない。
ただし。
「機関車が押してバック運転」は実物でもなかったわけではない。上野駅を発着していた客車列車がそれで、上野駅が行き止まり式だった関係で、車庫のある尾久までバックで出入りした。これは現在も生き残っている「カシオペア」でも実施されている。
(を、再現してみた。なお、土日鉄道のカシオペアはお子様向けの見世物として購入したが見向きもされなかったので売却w)
「やりゃいいじゃねぇか」
そうなのだが、そこに模型ならでは問題が存在してブルーになる。
カーブがめちゃくちゃ急なのだ。長大編成を機関車で押すと脱線のリスクが高まる。
「ブルートレインの置きっぱなし」
まぁ、車庫は2階建てにするので、「昼寝」するときはその上段に機関車先頭で突っ込み、お目覚めになったら坂道を降りてくる形で押して出てくれば、機関車にかかる負担や列車を折り曲げる不要な応力の発生も軽減できる。「バックでお出まし」シーンも見世物の一つにできる。
これで行くか。
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