亜熱帯低気圧【上】
中学図書館にあった気象の本には「熱帯低気圧」と「温帯低気圧」が低気圧の分類として書かれてあった。
「熱帯低気圧」は言わずと知れた台風とその一族のことで、熱い空気が垂直上昇する際に渦巻いて出来る。ざっくり言うと。熱い空気が必要だから熱帯でしか生まれない。だいたい、赤道はさんで緯度20度内外。
(台風2019年19号)
「温帯低気圧」は前線を連れていて年中現れる連中で、単に「低気圧」と言う場合コイツを指す。「南から北へ向かう熱い空気」と「北から南へ向かう冷たい空気」が渦巻いて交じり合うことにより生じる。寒暖双方の空気が混在する中緯度帯、温帯で生じる。
で、台風は熱い空気を中緯度帯へ持ち込む物だから、そこへ冷たい空気が寄ってきて、温帯低気圧のメカニズムが作動し、冷たい空気が混ざってくるので温帯低気圧に変わって行く。「衰えたから」温帯低気圧に変わるのではなく、冷たい空気が混ざってくるので構造が変化する、と解釈した方が多分正しい。
(同)
そして秋以降特にそうだが、台風に向かってハイエナみたいにぎゃん集まってきた冷たい空気によって寒暖差が大きくなり、温帯低気圧になってから再発達することがままある。命名されることになった今般の台風19号は、その後温帯低気圧として発達し、アラスカに達して現地に嵐をもたらした。
一方、温帯低気圧が熱帯低気圧に変わる事例は、温帯低気圧が西から東へ進むために非常にまれである。ただ、強い寒気に押し出されて熱帯の気団に触れたり、北上した熱帯の気団に触れることで温帯低気圧が熱帯低気圧に変化するという事例が幾つか記録されている。有名どころでは映画「パーフェクトストーム」のネタになった1991年北西太平洋で生じた事象がそれで、寒冷前線上に生じた低気圧が東へ進めず西へ移動、一方、そこから延びた寒冷前線が南方のハリケーン「グレース」に接触、するとハリケーンが衰える一方、前線上の低気圧はそのハリケーンから暖気を取り込み、自身がハリケーンに変化した、というものだ。
「パーフェクトストーム」と呼ばれるカナダ沖で眼を有したハリケーン。
以上前置きで本題である。「亜熱帯低気圧」とはなんぞや。実は気象庁のサイトでこの語を検索しても「定義」はない。むしろ今般の台風21号+低気圧による千葉県大雨災害でチラチラネットで目にするようになった。長くなるので一旦切る。
(つづく)
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