亜熱帯低気圧【下】
●三態
研究者が「亜熱帯低気圧」の実例として挙げているものを見てみる
1.コナ・ストーム
この語を出すと自称ハワイ通がウヨウヨ寄って来そうなのだがお呼びではない。
冷たい空気を伴って北西方から接近、ハワイに嵐をもたらす低気圧を言う。
こいつは元々冷たい空気の塊でできた低気圧で、ハワイへ南下してくる過程で中心が暖かくなり、熱帯低気圧の性質を帯びてくるという。
2.パーフェクト・ストーム
本稿【1】で紹介したアレ。
3.1988年台風11号
台風だった時間(在位?)が15時間だけという弱い部類。ご覧の通り渦を巻きたいように見えるが明確な渦はない。こいつは沖縄付近に降りてきた寒気の渦をとっかかりに、上昇気流を呼びんこんで「低気圧」として結実した、というのが実質のところ、と書けるらしい。台風とされているが、中心には冷たい空気の塊があった。
●特徴?
「暖かい地域だけど中心核に寒気を持ってる」論文の定義はさておき、一般向けにざっくり書くならこれが適切なのではないか。形成のトリガとしては、寒気の南下、暖気の北上、前線活動などがある。低気圧の中に暖気と寒気があって循環条件としては完結していて、熱帯的な振る舞いや性質を帯びることも、温帯的なその場合もある。
やーらしいのは。
・どっちつかずなので中心気圧の算出など、確立されていない予報要素がある
・温暖化で暖気も寒気も卓越しているので日本近海は起こりやすくなるんじゃないの?
●注意すべきこと
「台風」として登録追跡されることが多いが、雨雲・風速分布が温帯低気圧的になることがあり、「中心ほど強い」という常識のままでいるとひどい目にあう可能性がある。
まぁ、「低気圧っていろいろあんのね」ってのが分かってきていて、温暖化が複雑にしている、という昨今。
まーた面倒くさいものが。台風→温帯低気圧→インド洋で熱帯低気圧に復帰。だってさ。
(おわり)
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