守らないのはエラーではない
例の睡眠薬混入問題。
(出典)
エラーとは間違いのことを言う。比してこれはどうだろう。「守る気が無かった」と言ったら的確な反論が返って来るであろうか。
「だろう運転」という言葉がある。所要の確認や停止を行わず、勝手な思い込みで不安全な運転を行う心理だ。「今まで問題なかったから、どうせこれも問題ないだろう」
一般に製造ミスを起こすと是正措置を行い失墜した信頼回復に努めるわけだが、これは「回復」する場所がそもそもないのではないか。ならば、ゼロから構築する作業とかわりなはく、辛い道のりが透けて見える。
なんでこんなことになったのか。
「損失関数」という言葉がある(ニューラルネットワークのそれでなく品質工学)
「A0」というのはコストである。横軸がざっくり故障率(エラー率)。
故障率が高い(右に行く)ほどコストが高いのは理解されよう。この事象はその際たるもので企業存続に関わる損失を招いたことになる。一方故障率を低くする(左に行く)にもコストが掛かる。製造ラインを分ける、容器を別々に管理する。人がラインをまたいで活動しない、バーコードによる出し入れ・残量管理をする。etc。それらは売上増加にはならず、純粋に品質保持のための費用となる。
「損益」だけを考慮したとき、市場に出るまでのロスと市場に出てからのロスとの間にトレードオフがあり、そのバランス点を決める必要があることをこのグラフは示唆する。市場に出るまでのコストを怠れば何が起こるか。ましてや薬のそれが求めるエラー率は「0」である。
残念な事案というほか無い。
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