ホームオーディオは滅んで行くのか【ハイレゾ音源無関係】←紛らわしいタイトルだな
サンスイ、ケンウッド、ビクター、アイワ、パイオニア、そして。
オンキヨー。ソニーは「スピーカーを使うホームオーディオ」放置して久しく、残る「一般向け」日本のホームオーディオメーカはヤマハとデノン位か。
「自分の好みの音楽を聴きたい」かつ「メロディと歌詞が判れば良い」「自分だけ聞ければよい」ならスマホとイヤホンで充分である。部屋中の空気震わせて音楽で満たす必然性はどこにもない。
元々両耳に発音体をあてがうステレオフォニックは、電話が発明された直後、コンサートのライブ中継を電話のデモ代わりに試み、会場と中継先をたくさんの回線で結んだところ、「半分ふざけて」2つの電話を耳にあてがったら立体音響で聞こえた、というのが始まりである。会場は音で満ちているので部屋にも音を満たそうという流れができる一方、「両耳に発音体をつける」……イヤホンオーディオは原初の姿でもある。そしてそれは今後、個々人の聴感を取得してカスタマイズされた「超リアル音響信号」をヴァーチャルで流し込む方向へ進むであろう。音が空間に満ちていようがなかろうが、音を音として認識するのは脳なので、イヤホンだけで「音の満ちた空間」を模擬することは恐らく可能である。実現された暁には音質という概念と共にホームオーディオは滅びるであろう。
唯一、イヤホンオーディオで不可能なのは、音波を全身で感じることだ。歌手は全身の骨と空間を共鳴させて声を放出するが、逆の機序で身体が音と共鳴する現象が特に超低音(骨)と超高音(体毛)で起こる。当然、耳だけはその再現は無理である。ただ、この共鳴……「音を浴びる」のありなしで音質や「没入感」がどう違うのか、検証した例を知らない。ハイレゾもそっちの作用をよく聞くが、ありゃそっちよりも高域での位相再現性(波を表現するのに4つの点で描くのと16の点で描くのはどっちがより正確?)の改善の方が効いてる。
ただ、それにしてもひずみ無く音楽信号をたたき出すには「物量」に頼る側面があり、応じた金属と半導体を要する。それは小型化一辺倒の電子回路技術動向と真逆を指向し、コストの高止まりは避けられない。列挙したメーカがそれぞれ技術を競い「エアチェックしたカセットのダビング」という言葉を理解できる我々世代の耳が腐ったとき、コストを理解し支払う者は無くなり、まぁ多分「ホームオーディオ」を成した技術は失われるであろう。
ガッチガチにダンピングされたアンプが力任せにトランジェント特性の高いオーディオ信号をたたき込んでスピーカに歌わせ、位相そろえてたゆたうふくよかな音が室内に充満してくれる時代は22世紀を知らずに終わるのであろう。
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