音楽の買い方2021
名古屋・栄地下街の老舗円盤ショップが閉店した。聞けばレコード時代「発売前予約」を始めたのはここだそうな。
されど今「楽曲を聞く」だけなら、手のひらでポチポチすれば済んでしまうのはご存じの通り。音質派はハイレゾダウンロードに移行したし、「聞けりゃいい」層はプロモーション動画をブックマークして終わりだったりする。対価払わずにファンですもないと思うが。
「円盤」に楽曲データ収納装置としての存在意義は今や非常に低い。「円盤と一緒じゃなきゃ手に入らない何か」を付加しないと円盤が選ばれない。デザインやアルバムという提供形態にプライオリティを持たせる向きもあるが、付加物含め電子データで代替できないものはない。ぶっちゃけ「アーティスト本人から手渡しされる『物体』」……現物エビデンス位しか残らないのではなかろうか。抽選アイテム等を求めて大量に購入し、転売という騒動が引きも切らないが、その手もPCやスマホでデータ対価に抽選権を付与する形にすれば、本当にほしい人に公平に抽選される。転売自体も成り立たない。加えて「物体」であることによる在庫・流通・需要と供給のバランス……。
音楽が電気信号に変換できる以上、電気で流通させるのが最も無理無駄ムラのない形態なのだ。それが可能になった以上、媒体として、その流通形態としての延命・再起の方法を考えるより、使命が終わったと考えた方が多分良い。
「円盤の作成販売」はあるかもしれない。ジュークボックスのように楽曲をカタログから試聴して選ぶと円盤(カセットテープ)に書き込んで売ってくれる。スマホ・PCの環境がない、操作できないというシチュエーションは必ず残存する。ただこれは逆にコンビニの一業務に落とし込んだり、例えばカメラ屋さんがデジカメデータを印刷するついでなど「専門店」である必然を要求しない。DJのように「俺のセンスのコンピレーション」で円盤を売りまくる向きが出てくるかもしれないが。
実態に合わせた次の一手を打つ最後のチャンスではないのか。
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