普賢岳30年
(https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/volsaigai/saigai.html#pf)
雲仙普賢岳の火砕流災害から30年が経過した。インパクトがあっただけに記憶が鮮明で、30年の長さを感じない。1000℃近い土砂を含んだ毒ガスが時速100キロで広がって行く。
さてこの災害は「大火砕流」と表記されることが多い。しかし過去の事例からすると、これは決して「大きい」火砕流ではない。この規模を「大」と書かれると、これが珍しいレベルだという思い込みを生む方が恐ろしい。
(Wiki)
8万5千~9万年前に起こったと推定される阿蘇山噴火で生じた火砕流の範囲である。九州をほぼすべて飲み込み、海を渡り本州まで到達している。普賢岳火砕流と次元が異なる。
類例を私たちは10年前に見ている。東北地方太平洋沖地震である。あの地震が起きる前、「最大級」と警戒された地震は東海地震であった。
(想定震度予測・2003年)
比して宮城県沖で生じたのはマグニチュード9.0であった。
地質時代のような大きな地殻変動は確かに近年起きていない。しかしそれらが万年スケールなのに対し、我々の知見はここ100年の技術に基づく1000年レベルの推定で来るの来ないの言っているだに過ぎない。プレートテクトニクスは絶えていない以上「もう起きない」わけでは決してない。
(理科年表2021)
これは過去10万年に起きた日本周辺の大噴火とそれに伴う噴出物「テフラ」の分布地図である。「もう起こらない」と考える方が不自然であるとわかる。ちなみに例示した阿蘇の噴火(阿蘇4)は火山灰も含めるとウラジオストクにまで達していることがわかる。現代社会は火山灰が積もるだけで農作物はもちろん、交通機関と電力がマヒする。火砕流だけ注意しても意味がない。
スケールと間隔に留意を。
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