TAD-ME1 遊佐未森を歌わせていただく @mimori_yusa
きっかけはこれでござる。異世界訪うようなリリックもあってあっという間に虜になり(そういう澄んだ声が好きなのだと知った)。
1988年から活動されており、平成を挟んで、なのだが、時を経て癒やしが欲しいとき、ヒーリングのために流している。全てCDよりリッピング44/16。
(選択決断までの経緯とかあーだこーだはこっち)
1.瞳水晶
「おお、堅え」というのが第一印象。曲想からして柔らかさ、丸い感じと相性が良さそうだが真逆の表現。ガッチガチに解像する。ただ、ハキハキとした正確な表現は前へ出てくる音場もあって慣れれば突き抜けた透明さに包まれる。澄んだ、とにかく澄んだ世界がまるで雨上がりの青空のように広がる。
2.Happy Shoes
音だけで「夜」の空気を表現することに成功している凄い楽曲だったりする。意外や打楽器系がドンドンと低域に伸びていて、逆に言うと「レコードへの悪影響」を考慮した様々な制約から解放された感。深さと広さが印象的。
3.窓を開けた時
心地良く響くみもりヴォーカルがとにかく、とにかく心地良い。口のサイズ・解像感は時代なりだが、ストレートな感じがそれを大いに上回る。バックで完全にシンクロしているドラムとギターが歯切れ良く震える
4.地図を下さい
ベースがずーん、と効いてる。楽器の数が多いわけだが、その全てをカリカリに描き出すことによって粒立ち感が得られ、曲全体として浮遊する。すーっと入って来て、すーっと抜けて行く。
5.暮れて行く空は
ギターの音とヴォーカルのエコーに包まれる。こんなに位相差成分あったんだねぇ。ギターと、コーラスと、ハーモニクスが「とてもきれい」だ。
6.0の丘∞の空
シンセとアコースティックの最強タッグ、みたいな。ギターとベースが左右に明確に振り分けられていて、耳に入ってクロスする。「すれ違う夢の座標」……やられた。ただ、ドラムスはもう少し重心下がっても良かったかな。カットされているように聞こえてしまう。間奏で震える音が入っているけど。
7.夢をみた
シンセサイザを人の技巧じゃ難しい表現に使っていて、夢と現実みたいな部分に思いを馳せてしまう。その中でギターをピックする音がカリカリと響く。左右で位相差のある音は充分に部屋の中を飛び交い包む。部屋の中日常から心解き放ってくれる。
8.夏草の線路
おお、と声が出てしまった。「ステージ演奏を独占」している感ここに極まれり。コーラスの声が耳元飛んできてハッとさせられる。遊佐未森って「大音量で浴びるように聞く」タイプでは無いと思うが、これを聞いてると「これは……」と思わせる。
9.靴跡の花
イントロのバスドラムが出るシステムあるのかこれ。通奏の低音が出るかどうかで印象が変わってくる。リリック切ないがバックトラックは力強い。楽器類の定位はスピーカー同士を結んだ線上に来る。
10.森とさかな
ヴォーカルの定位は大きめ。パーカッションが主体なのでキレッキレを身上とするTADが得意そうに料理する。ただそれは製作者の意図した音になってるかどうかワカラン。
11.小鳥
イントロから低音がすげえ。おかげで印象が変わった。さておき声の表現やレンジ感は浅い。TADを通して乾いた感じの鳴りっぷりになり、かえって切なさを強調する。
12.合歓の木陰で
ギター、鍵盤、管物、ヴォーカルでシンプルな曲想。定位サイズは少し大きいが、その分「目の前」で演奏している感がある。
13.野生のチューリップ
珍しいロック調。ドラムスが躍動しとにかくダイナミックだ。過渡特性とはこうじゃ!みたいな鳴り方をして相性抜群。間奏のコーラス開けの「壊れた時計の力」による再加速感がたまらん。
14.銀河に恋するプラネタリウム
アルバム「アカシア」以後、別ジャンルに食指を伸ばした反動でコレクションが止まっている。本楽曲は2012年、名古屋でライブがあって、物販で買った物(サイン入り)。
ドラムとギター、ヴォーカルで進んで行く。付帯音を有する(レベル調整の痕跡?)。ヴォーカル定位置は「目の前」でリアルな発声に照れるほど(なんでやねん)
●まとめ
冒頭にも書いたが、乾いた感じ・あっさり系の表現になる。本機は「美しく」鳴らす機械では無く「正しく」鳴らす機械なので、豊穣さや渾然一体な鳴り方を求める場合には「合わない」とハッキリ書ける。一方で豊かな低音域が発掘できたり、個々が混ざらないゆえの「晴れ上がり」感など、個人的にはより魅力的に感じるようになったという印象。ミモリストに勧めるか?……この価格帯を狙える人ならソナスファベールをいっぺんお試し遊ばせ。
遊佐未森さんには引き続きご活躍を願いたい。抜けてるアルバムは順次補完して行く。
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