津波のようなものが来た
サテ睡眠薬もかっ食らったし寝ようかと思ったら携帯がエリアメールを受信。
びびった→マジか→なんで?
多くの人はこう思ったのではあるまいか。
「トンガの噴火による津波の可能性はない」
気象庁はこの警報を出す数時間前にそう発表していた。
何がどうして……午前2時からという気象庁の会見を無理して起きて確認した。
「 今回の潮位変化は、地震に伴い発生する通常の津波とは異なります。防災上の観点から津波警報の仕組みを使って防災対応を呼びかけているものです。」
ん?
(リアルタイムひまわりからキャプチャ)
画像は順に、噴火前、噴火後、噴火部分のキャプチャである。噴火した火山「フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ」は海底火山だという。今回の噴火ではその爆発による噴煙が衛星写真に写るレベル(16000m)まで噴き上がり、噴火による衝撃波は700キロ離れたフィジー等でも聞こえ、日本やイギリスにも気圧変動として到達した。
非常に規模の大きい破局的噴火と推定されるという。で、火山から80キロ離れたトンガの首都で80センチの津波を観測。
「現地で津波が来てるのに何で日本では来ないといったんだ?」……誰しもがそう思ったのであるが。
一般に津波は海底の地形変動で発生する。それは地震を伴うのでそれと判る。しかし今回の噴火では地震は生じていない。
一方、バスタブで水面をぶん殴れば判るように、水面に大きな変化をもたらすイベントが生じればそれはそれで津波となって伝搬する。日本の場合雲仙岳の眉山が山体崩壊を起こして有明海に貫入、津波を生じさせた「島原大変肥後迷惑」(1792年)が知られる。ただ、今回それが生じたなら火山に近い地域でより大きな津波になったはずだ。
一旦置く。気象庁の会見を要約するとこう「津波として到達すると予想した時間より早く、潮位変動が観測されたので、遅まきながら津波警報のシステムを使って注意喚起した」。つまり想定外の現象であり、しかし潮位変動が実際起こったので、それに直接対応する仕組みは無いけれども、津波警報システムを流用した、こうなる。被害は漁船の転覆、避難中の転倒、等と聞く。
疑問点を整理しよう。
・「津波状現象」の発生原理
・当地は80センチ、日本やカリフォルニアでは1m超え
・予測より早い到達
このうち、高さの点では「チリ地震津波」(1960年)の事例と、海底地形から説明できる。
要は、
・小笠原諸島から続く海底山脈に当たった津波が「ちょっと曲がる」
・フィリピンあたりの急に浅くなる部分は斜めに壁に当たるようなもので反射する
・こうして集まった波が日本列島~沖縄トラフで急に浅くなるので高くなって現れる
トンガはチリ-日本の中間に当たるから、同じ事象が途中から始まったと考えれば納得が行く。
で、残るのは「津波様現象」の発生原理と「予測より早い到達」である。これは一体になった現象だろう。つまり、この現象の原理だからこそ早く到達した、のではないか。
遠くから来る波は「周期が長い」ほうが速度が速い。しかし今回の「津波様現象」では、「周期の短い」波が先に観測された。
「チリ地震津波」の周期は40~50分というから、今回の現象はその倍くらい短いことになる。
・この「津波」自体の発生場所はより日本に近い
・伝搬してくる途中で別の波を発生させてそれが到達した
これを全てうまく説明する仮説が、噴火に伴う衝撃波「空振」だという(今村文彦教授による)。衝撃波は海面を押さえつけながら進行した。そのあと反動で波が出来た。プールや銭湯の中で歩いている状態を思い出されたい。歩く自分の前に波が出来るだろう。観測されたのはそれらの波と、空振が途中作ってきて、後から追いついた波で、追いついた方が重なって高くなった。
辻褄は合う。合うが、一発インパルスである衝撃波にそこまで海面に擾乱を惹起するエネルギがあるのか?そんなエネルギがあったら、火山により近い地域では、衝撃波でぶっ飛ばされた地形等があるのではないか。
解明が待たれる。7300年前、ここで同じような規模の海底火山噴火が起きている(鬼界アカホヤ)。
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