婿殿の仕事
違う。
義父は足腰がしんどいこともあって、入浴は近所のデイサービスを利用している。が、年末年始は一週間近く休みでござって。
そんなで年越せと?
「銭湯行きます?」
「ええな!」
妻は自分が義父に世話を焼くことを申し訳なさそうに頭を下げるわけだが、こればっかりはムコの出番で。クルマで5分。
銭湯ってもソフィスティケートされてて必要な料金は自販機でチケット買ってフロント(≠番台)に渡して、というスタイル。石けんシャンプーは持参か買うか。
「どうぞ」
着替えを入れるロッカーは背の高い奴(駅のコインロッカーで500円くらい取られる奴)もあって、義父のステッキを格納できる。
「ええな!」
“反社会勢力はお断りだが入れ墨OK”の湯なので、応じて生体美術館・順次展示内容入れ替わりが閲覧放題である。倶利迦羅紋紋、吉祥天女、唐獅子牡丹。まぁ、いいけどサ。伝統的な絵柄ばかりなのは逆に安心!?。肝心の湯はあちこち手すりもあって掴まりながら移動が可能。身体を伸ばして熱めのジャグジー。
「あれは?」
「水風呂ですね」
「その扉は?」
「サウナです」
「サウナはイカン」
さて義父の曰く、デイサービスでは湯船に長時間浸かることはないそうな。背中流してくれて至れり尽くせりなのだが、
「じっと見られててイカン」
それは体調急変や滑って転ぶを警戒しているわけだが、まぁ、じろじろ見られたらね。高齢者には、時間がかかってもどかしいように見えるかもだけど、自分でやりたいようにやりたい。というのはあるがですよ。プレッシャーを感じたらもうええわ、ってなるさね。イラッと感じても待ってあげるゆとりを。それはいつか自分も行く道。
「ゆっくり入れたわ」
ドライヤー3分20円。フットマッサージャー5分100円。
「もう少し使いたいんだけどなぁ」
世知辛いところで。
ともあれ、デイサービスの休業期間中の入浴はこれで代替と判断できる。帰宅して義父はにっこり。一方、自分は再度外出。
「ちょっと出てくるわ」
「どこへ?」
「戦闘だ」
お後がよろしいようで……。
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