#Walkman High-Resolution NW-WM1AM2 ~その3・MDR-M1ST~
★聞き出しインプレとかはこっち
★22/05/24追記:↓あまりいいこと書いてないが、「にしてもおかしいだろ」と思い、再度聞き直した結果、ボリュームをゲイン低・85/120くらいまで大きくしてようやく納得のいく感じになった。要するに「再生音が小さすぎた」。なお、この音量だと音はダダ漏れなので「一人で聴いてる」シチュエーション以外に向かない。
●冒頭の能書き
MDR-M1ST
ブログタイトル引かれてここ来た方はこれが何者かご存じと思うので説明しない。主題のウォークマンバランス駆動で200時間エージング終わったのでこの人動かそうという試み。問題は。
最大入力 1500mW(IEC)(*1)
インピーダンス 24Ω (1kHzにて)
このスペックをどう読むか。ちなみに前任機のCD900STが63Ω。
W1AM2のSマスさんは
ヘッドホン実用最大出力(JEITA 16Ω/mW)
バランス標準ジャック:250mW+250mW(ハイゲイン出力時)
ちょっと計算してみよう「実用最大」なので波形はひずみまくっているがさておく。このスペックは「16Ω負荷の時0.25W取れます、ということなので、①RI^2=Pより I=0.125A また、②(V^2)/R=Pなので、V=2V このことは、電流供給能力か、電源電圧のどちらかの上限がこの値であることを示唆する。まぁ、電池で動くデバイスだから電源2Vの可能性が高いだろう。するとここからM1STに供給できる電力は②式から0.167Wと出てくる。感度はCD900STより3dB低い。
御せるんか?君は。なお、バランス駆動用のケーブルはMDR-1A用。音質補正、リマスタリング類は無しのフラット、ゲインはHigh。
1 まかせて★スプラッシュ☆スター★ /うちやえゆか(CDからリッピング)
CD900STの音やん。というのが第一印象。中低域に持ち上がりがあってカーカー音(無駄な反響系付帯音)が付く。以外はバランス良く張り詰め感とかモニターそのもの(そりゃそうだが)。Sマスさんこれならまぁ、いいんじゃね?
2 Rose in Rose/五條真由美(CD)
その強調音域がこの曲イントロのギターのところでかなりガツガツ来る。音像定位はしっかりでかなり「硬質・硬派」な仕上がり。無駄なモノ全てそぎ落とした印象で解析的だが「没入」とは逆かな。
3 Mad Desire/Stephy Martini(CD)
ユーロビートは打ち込みの積み重ね。なんかそれが顕わになって少し不自然感を持つ。低域は締め上げられていてマッシヴ。ボワボワに膨らむよりいいと思うが、そのためか中高域が少しうるさいと感じる向きもいそう。
4 Kiiling My Love/Leslie Parrish(CD)
イントロ各所に含まれる「無音の間」が浮き彫りになる。なんだろ、ディテールエンハンサーが働いていて、それで強調されたエッジに付帯音が付いちゃった、みたいな。
5 Coextensive/Master Gun(CD)
ジャンジャンバリバリのドンシャリテクノをドンシャリに鳴らす。「ドンシャリです」ってのをきちんとモニターできてるという点では正解だが、チト長時間聞くには向いてないなぁ。
6 DONE/サラ・ブライトマン(44/24)
イントロの弦がめっちゃ強調される。非常にくっきり描かれるがひずみを伴う。う~ん。
★ここでDSDリマスタリングを使う。
落ち着いたわ。インパルスの応答時間は延びたがリンギングは減りましたでこっちのが相性良さそう。でもって逆にモニターの性質の良いところが出てきて発音時の唇の動きとか映像として思い浮かぶ。
7 Fantasy On Ice/サラ・オレイン(96/24)
冒頭アカペラ部などいい感じに響き、まとわりつき、打楽器の膜ぶるんぶるん感など良く出る。そのなんだ、DSDの持つ良い面……しなやかでなめらかで自然な高域ダラ下がり、これを楽しむ・好むなら最適と言えるか、疲れた時に聞く癒やし成分多めの傾向というか。間奏の弦は過渡特性が下がってる感がでて「擦ってる」系の聞こえ。ただし不快なものではない。
8 ロマンティックじゃない?/ダイアナ・クラール(96/24)
正確かつ適度に制動されたギターとヴォーカル。「口のサイズ」はかなり大きめ。没入というより対峙して聞く時に欲しい表現というか。ビブラホン(鉄琴さん)とかもう少し「ピン」という金属感が出て欲しいが、ムーディな鳴り方になるのでそれはそれで良し。
9 Skylim Theme/ケルティックウーマン(96/24)
音数と密度と圧倒感のある楽曲だが、大人しい感じの表現になる。「モニター装置でリスリングする」に向いた感じ。弦の表現は賛否分かれる気がする。何だろ、多分、ストラディバリウスを鳴らした場合「らしさ」が別の要素に変換されるみたいな。
10 When You Dance With Me/レベッカ(CD)
サバサバ系の再生音で大変よろしい。デジタルは再生技術の進歩に応じてリフレッシュされて聞こえるのがいいね。間奏の低音はおなじみの書き方だが「強調感は無いが良く聞くとちゃんと出ている玄人好みの作り」
11 Magia/Kalafina(96/24)
Kalafinaのハイレゾってそもそもが高域に向かってダラ下がりになっていて、それはスムーズなのだが「解像感」ってのはあまりないのよ。それをDSDにするので少し輪郭が丸い音というか「ハイレゾの高解像度を聞け」って部分はスポイルされた感じになる。
12 音楽/Kalafina(96/24)
アナログレコーダーっぽい輪郭のささくれ感とかいい感じに「取れて」なめらかな音調に変わる。幾らでもヴォリューム突っ込んでも破綻しないだろう感が好き。
13 うすむらさき/Kalafina(96/24)
ベースが地を這う立ち上がりだが、「スッキリ」と感じるか「物足りない」と感じるか。少し整理されすぎた嫌いもあるが、本来のバランスはこうでしょ、と思わせる。逆に言うとPCM再生+IER-M9はドンシャリなんだなと。比してDSD+M1STはいい意味で音色違い・表現違いを楽しめる。
14 Kyrie/Kalafina(96/24)
広くは無いが確実な音場。抑制された地に足の付いた表現・出音。一音一音に気を配れる正確さ。安心して聞ける「質の高さ」がある。
15 ます(シューベルトピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 (D 667)「鱒」・第4楽章:アンダンティーノ - アレグレット)/Koike Strings with 新垣隆(DSD11.2MHz)
こいつは元々DSD11.2なので要するにストレート再生。ヴァイオリンが人によってはイヤミに聞こえるかも知れない。ヴォーカル用モニターだよなぁという。でもピアノよりは弦が得意そう。
16 作者不詳(ロンドン写本より): サルタレッロ (ゴシックハープ[15世紀メムリンク・モデル])/西山まりえ(192/24)
前述の「カーカー音」の帯域が本楽曲ではホールトーンの中心を成すのでちょっと不自然になる。大本PCMがカリカリなのでDSDにするとなめらかになりすぎるかなという。
17 世界の車窓から/溝口 肇(DSD11.2MHz)
確実な再生で破綻はないが、楽器が少ない分「カーカー音」が鼻につく(耳に付く)というか、気になりだしたらだめ。
18 明け星/LiSA(96/24)
爆音と進んで行くパワーボーカル。やや圧迫感があるほど。高域ダラ下がりの分、下が持ち上がって骨太に鼓膜をドライブしてくる。ただこれは聞き慣れていない人には音数の多さもあって強すぎる可能性もある。
■総評:with M1ST
リスニングに使うな阿呆と言われればそれまでだが、少し相性がよろしくない。M1STが強調している中低域~中高域と1AM2のドンシャリが重なって山が3つ出来る。DSDリマスタリングを使うと山の裾野が広がって高域が下がるので無補正よりはマシになる。ヴォーカルものはさておきオケもの、とくにピアノが付帯音を伴うのが聞いてて辛い。
A1M2の特徴である音場感は、イヤホンで聴いてる分には頭の周囲に飛び出して広大で気持ちいいのだが、こいつは頭蓋骨の内側に引き締まってスタンダードなサイズになる。
没入と言うより聞き分ける組み合わせ。いやモニターだからそれでいいんだが。逆に言うとヘッドホンを日常的に使う人はA1M2買う前にお店に事情を話してある程度聞き込ませてもらうこと。10分20分聞いて特定の楽器や帯域に不自然さが出てこないか。
« 小ネタ二題 | トップページ | うちやえゆか★バースデーワンマンライブ2022 @yaedon »
コメント