#Walkman High-Resolution NW-WM1AM2 ~その2・100時間動かしたAM2~ @NOBUNAGA__Labs @e_earphone
●冒頭の能書き
★買ってすぐのインプレはこっち
「タイトル何をもじったか知らんが無理がありすぎないか?」
「俺もそう思う」
本機は「200時間エージングしてくれ」ということで。
夜っぴて動かしているが、半分の100時間を経過したところで変化の確認もかねて書いておく。
IER-M9はリケーブルしてある。eイヤホンで聴いて回ってNOBUNAGA Labの澪標「極」(みおつくし・きわみ)にした。……うん、凄い値段の電線だが、同時にポタアンとか買い取ってもらったので手を伸ばすことが出来たとしておく。
以下、テストの曲はTAD-ME1のインプレ時に合わせてある。なに?ZX507との比較じゃないのか?このくらいのクオリティなら普通にスピーカー再生との比較でいいでしょ。ゲインはHigh。音質補正なしダイレクト。
1 まかせて★スプラッシュ☆スター★ /うちやえゆか(CDからリッピング)
素直に「いい音だな」と思えて特徴を表す表現がすぐには出てこない。低域が少し盛られて聞こえるか。高域は少しシャンシャン響く傾向があったが特にリケーブルが作用しておとなしくなり、しなやかさを備えた。サ行の刺さり感に注意したくなる声質なのだが安心して聞くことが出来る。
2 Rose in Rose/五條真由美(CD)
まいこヴォーカルが中心にギュッと定位し、バックトラックによる盛り上げ感が大いに強調される。文字通りバラの中のバラという感じで音が咲き誇る。分厚い低音に乗ったメロディラインなど屈強感がある。でもプリキュアの楽曲なんだぞこれ。
3 Mad Desire/Stephy Martini(CD)
イントロの加速感が極めてエモいのだが、音域の重心が下がったので力強さが加わった。電子音源の表現は極めて明快でキレッキレと書くことが出来る。音量上げても「やかましさ」がないので安心して没入できる。
4 Kiiling My Love/Leslie Parrish(CD)
この曲は同じユーロビートでも少し音量控えめちょっとレンジ狭めなのだが、そこらが強調されるきらいがある。されど多重ヴォーカルメインで進んで行くビッタビタの哀愁ラインは最高で鼓膜の震えに身を任せたくなる。
5 Coextensive/Master Gun(CD)
重爆ビートがドコドコ響き耳を圧する。新幹線に乗っているかのようだ。幾重にも積まれた音を一つ一つ解像して見せ(聞かせ)、波に埋もれるというよりは解析的に聞いてしまう。リズムに身を揺らしながら。
6 DONE/サラ・ブライトマン(44/24)
↑この順番で聞いてくるとここから24bitで応じた細やかな階調変化を感じ取ることが出来る。この超絶のヴォーカリストと本機は相性が良いようだ。深さや伸びやかさなど余すところなく再生してくれる。
7 Fantasy On Ice/サラ・オレイン(96/24)
その唇の動きよ喉の奥の震えよそして果てしなき倍音よ。「没入感」として最高ランクの時間が味わえるのではないか。間奏の吹け上がるブラスなど音が輝いて聞こえる。大迫力で高解像度であり、目の前で黙っているはずのTADが歌っているかのようだ。
8 ロマンティックじゃない?/ダイアナ・クラール(96/24)
出だしのギターのなんとリアルなことよ。頭の真ん中で定位するダイアナの声にため息が出る。ああん(←帰れじじい)。息づかい含め生々しさはDAPであることを忘れる次元。少しスモーキーだが、耳のそばで聞いてるせいか。
9 Skylim Theme/ケルティックウーマン(96/24)
豪壮なバックトラックに美麗ヴォーカルが乗って行く大スケールの楽曲であるが、DAP+イヤホンのサイズを越えた表現を示す。いやすげぇ、すげえよ。相当大音量飲み込ませても破綻がないので雄大に響かせていられる。ヴァイオリン(ケルトviolか?)かき鳴らす系の鳴らしかたであって、きつくなりやすいのだが、全く問題ない。
10 When You Dance With Me/レベッカ(CD)
90年代PCMはストレートで理知的だ。余裕を持ってデコードしていると感じさせる。この曲は間奏の低音に重点を置くが、ドスンドスンと打ち鳴らし感銘と書けるほど。ただこれをヘッドホンで再現するパワーがコイツにあるかというと難しかろう。この辺はデジタルアンプSマスさんの限界なのではないか。
11 Magia/Kalafina(96/24)
この暴力的な低音とバイオリンとギターとヴォーカルの争いを聞け。少し不気味感を漂わせる楽曲であるが、その点大変不気味でよろしい。重なり合うヴォーカルは美しく不気味さとの間で哀感を伴った対極をなす。
12 音楽/Kalafina(96/24)
バックトラックのギターが埋もれず浮き立って聞こえるのがリアルである。低音が強く、それは本機も注力している部分であると聞こえ、イヤホンとの相性によっては強く出過ぎる可能性も考えられる。かまわずイコライザーで調整しよう。
13 うすむらさき/Kalafina(96/24)
なんじゃこの美しいのは。通奏低音が強いのだが、それがまた3人コーラスと絶品の絡み合い・対局軸を作って頭全体を揺さぶって寄越す。しかしこの響きの豊穣さ……イヤホン・ヘッドホンが「脇役・代品・とりあえず」だった昔日の彼方よ。
14 Kyrie/Kalafina(96/24)
一音一音がここまで愛おしく再生されるものなのだろうか。重なり合う美しさ、伸びと余韻、広々とした音場と密度感。曲に「終わって欲しくない」という感情を抱かせる。いやノンストップパワープレイすりゃいいんだがw
15 ます(シューベルトピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 (D 667)「鱒」・第4楽章:アンダンティーノ - アレグレット)/Koike Strings with 新垣隆(DSD11.2MHz)
その昔弦だのピアノだのポータブル機で聞くものじゃなかった。比してこのめまぐるしく音程を上下する弦の響きを軽々と表現するではないか。しかもその間通奏を受け持つコントラバスの動きもちゃんと押さえている。イヤホンが多段BAで分担している部分もあろうが、それを一体に鳴らしてここまでまとまるのはたいした物ではないのか。寝しなに聞くと気持ちよくなれそうだ。
16 作者不詳(ロンドン写本より): サルタレッロ (ゴシックハープ[15世紀メムリンク・モデル])/西山まりえ(192/24)
冒頭の1秒でこの楽曲録られたカテドラルへワープできる。少し低域の膨らみ感があるが、それはおいらが普段STAXを基準に音程バランスを見ているからであろう。繊細で倍音に満ちた高密度な音を繰り出す。贅沢だ。
17 世界の車窓から/溝口 肇(DSD11.2MHz)
番組バージョンと異なりドラム・ピアノ・チェロという構成。スピーカーだとステージの前に自分が座って聞くように鳴るが、この子は「ステージの上」で聞いているよう。リアルな配置と言うより「包囲感」を楽しむ、みたいな。
18 明け星/LiSA(96/24)
ドスドス来ます。ドスドス。大迫力。その代わりLiSAヴォーカルは軟らかく表現されちょっと意外。弦はちょっと丸い気もするが録音のせいでしょう。一点の希望の光へ向かって一歩ずつ歩いて行くような曲調がよく判る。
■総評:vs.TAD-ME1
解像感という尺度でいえばかなり肉薄している。つまりスピーカー再生からカチンと切り替えてそんなに違和感、とりわけ「貧相になった感じ」はない。ただ、低音がかなり強く出るので、これでマスクされた音の存在も感じる。ただし、ハイレゾ系の高音ガンギマリな奴を再生するとそれは抑えられ、「軽いドンシャリ」でバランスする。
少なくも507から1AM2に買い換えた動機は「日常的にME1聞いてて、いざ外出時に507を動かすと貧相に聞こえる」であったから、この動機に対するアンサーは「満たされた」という及第点となる。
「脇役」だったヘッドホン・イヤホンオーディオこそが主流であり、応じた本格的な質を備えつつあると感じる。
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