サラ・オレイン「ONE」を聴く #ハイレゾ @AlainnSarah @SarahAlainn
●冒頭の能書き
ハイレゾ環境整えてから集め始めたので、「新作発売にリアルタイムに邂逅」は今回初めて。なので聞き出しを書く価値はあるかと。
プロフィール等は公式参照いただくとして……今日び、こう、人を紹介する時にビジュアル面のコメントを付けるとナントカの会が文句を付けてくるのであるが、「天は二物を与えず」……これはウソ。でもって、そういう、少数の選ばれし天賦の才によって人類は知的・芸術的水準をイノベーションしてきていて、彼女も間違いなくその一人。芸術サイドから我々を引き上げて下さる。大いにその恩恵に浴し、素直に楽しもうではないか。
機材は以下の通り。ハイレゾflac形式(96kHz/24bit)をI/OデータのNAS「Soundgenic」に入れ、USBでデノン「DCD-SX11」でDA(サーバからプレーヤ直結)。バランス接続でアキュフェーズE-470。スピーカーはTAD-ME1。……試聴記目当てでこの記事にたどり着かれて、こいつら機材の値段検索して気絶する方もおられるかも知れないが、「それだけの価値はある」ということで。
1. ボヘミアン・ラプソディ
Bohemian Rhapsody
ロックバンド「クイーン」の同曲をカバー。ヴォーカルが目の前にフォーカスし柔らかく包まれる。東京室内管弦楽団をバックに背負って引っ張って行く。輝かしいブラス以上に輝かしいのはさすがの一言。
2. スピーチレス~心の声(映画 『アラジン』より)
Speechless from “Aladdin”
こういう、語りかけ的な始まり方で「この声」が出てくるって最高の贅沢のひとつであろう。1.と同じくTCOをバックに強く強く盛り上がって上り続けるスパイラル感がたまらん。
3. ザ・ウィナー
The Winner Takes It All
「ABBA」の同曲カバー。ピアノソロで始まって行くのが、立ち上がり、そして上を向いて歩き始める人への大いなる応援という印象。緩急の付け方、抑揚の流れがまるで映画を見ているかのよう。次第に楽器が増えていってスピーカ両翼に展開する有様など、まさに音で描かれたスクリーン。
4. スペイン
Spain
ライブ録音。自在に操られた声が強弱高低飛び回りながら鋭くそして軽快に走り回る。なお、ピアノの録音が秀逸。ピアノをピアノっぽくオーディオで鳴らすのって非常に難しいのよ。身体が勝手にリズム刻んで揺れ出す。没入するのがたまらん。
5. ウォーキング・イン・ジ・エア(映画 『スノーマン』より)
Walking In The Air from “The Snowman”
同じ曲はケルティックウーマンのバージョンも持っていてお気に入りの一つなのだが、ギターこれ荒谷氏か。ヴォーカルと「二人」で切々な感じがたまらん。
6. ディーヴァ・ダンス(映画 『フィフス・エレメント』より)
The Diva Dance from “The Fifth Element”
ピアノやバイオリンで「超絶技巧」を要求される楽曲が幾つか知られるが、そのヴォーカル版とでも言うか。「すげぇ。本当に一人でリアルタイムで歌っているの?」と思うのではないか、とだけしておく。なお、バックトラックの低音がズンドコ出せるかどうかでダイナミズムが大分変わる。
7. ひこうき雲
ユーミンのご存じ。原曲そのまま聴くと1970年代って感じなのだが、リリックに時代感はないので、今こうして彼女が歌って古さを感じないと思う(この辺がユーミンの天賦の部分)。天を行くひこうき雲の高さや伸びやかさを強く感じるアレンジ。
8. 映画 『ウエスタン』 ― テーマ
Theme from “C’era Una Volta Il West (Once Upon A Time In The West)”
1968年の楽曲。セルジオ・レオーネの西部劇。上記7.と時代的連続性がありそうなのだが、本作は2019年に再公開されてるのよね。
寓意の有無はさておき映画の背景をサラッと確認してから歌を聴くと感動の内容が変わるとは書いていいか。ハミングだが逆に声にフォーカスがあって耽溺できる。さぁヴォリュームを上げて響かせろ。
9. 映画 『シンドラーのリスト』 ― テーマ
Theme from “Schindler’s List”
インスト。ヴァイオリン本人よね。強く、太く弾く印象。こう、川の流れるような、弦の響きで歌わせるような鳴らし方凄くいいと思う。なぁ、誰ぞ彼女にストラド持たせてみなれんか。
10. Merry Christmas Mr. Lawrence (Somewhere Far Away)
(映画 『戦場のメリー・クリスマス』より)
日本では坂本龍一の一言で説明は事足りる。「ひかり」とか「希望」が糸のように細いがしかし確実に存在するぞみたいな映画なのだが、応じて適当に歳食った世代の心に刺さる楽曲。シンフォニーをバックに歌ってちょうどバランスする。クリスタルガラスの短剣のようだわ。
11. マイ・ウェイ
My Way
ライブ。おっさん上司のカラオケ十八番。フランクシナトラが知られるがエルヴィスの方が好きだ。応じて声の方には「大火力」が求められるわけだが、メリハリしっかり付けて「サラのバージョン」に仕上がっている。ことば一つ一つの音の発出が非常に明瞭なので元のスペルに再構築されて脳の中を駆け巡る。ま~~~~~~~~~~~~~~いうぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~い。
12. 誰も寝てはならぬ(歌劇 《トゥーランドット》より)
Nessun Dorma from “Turandot”
6.と並んでハイレゾ鑑賞の効力が発揮される楽曲と言える。か弱き音は美しく、大きな音は輝いて。どこまでもどこまでも伸びやかに。
●まとめ
舞い飛ぶ大型の蝶のような美しく輝くその歌声を耽溺して楽しむ一枚。ピアノ、弦、管弦楽団の録音も秀逸かつバランスが取れている。いや、管弦楽きっちり録音して左右スピーカ間に配置して、なおかつレンジの広いヴォーカルをそこに載せるって難度高いと思うぜ。贅沢を言うともう少し倍音ゆんゆん感が欲しいが、クリアで雑味の無い(ビールかw)見通しの良い仕上がりは日本のレーベルが作った販売用音楽としては間違いなくトップクラス。
で。
「ハイレゾやってみたいんだけど何を聴けばいいかな」と言われたらイチオシだし、逆にハイレゾの設備持った方はこれ聴いてみろと言う。広く、悠々と、時に嵐のようにかき乱すがごときその声は「それだけの価値がある」のよ。
この声に出会えた幸せをここに。
Diva dance pic.twitter.com/sSuZau65UW
— すのぴ@キュアカイシャイン (@sunop2000) May 21, 2022
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