勿体ないもったいない
これは鉄道模型のレールをマクロでどアップ撮影したものである。
同好諸氏はこのレール表面を拭いても拭いても「黒い汚れ」が付いてくるのに悩まされた経験をお持ちであろう。何なら新品でも「汚れ」ている。結論から言うと、最初のウチ拭いて付く黒いのは汚れであるが、途中からそれはレールを構成する原料金属の微細な粉に変わっている。新品の「汚れ」もそれである。レールの原料金属である「洋白」(銅・ニッケル合金)など、柔らかい金属は、柔らかい故に原子同士の結びつきが緩く、ヤスリでゴリゴリどころか指先や何ならティッシュで触った程度でもある程度削れる。そして削れた粉はあまりに小さいので光を反射せず、目には「黒い粒子」に見える(微細粉とか言う)。レールを拭いても付いてくる黒い汚れの正体はレールそのもの、ということである。
これを踏まえて。
アルミの加工製品を納めたら返品された。「黒い汚れがある」あー。営業が「機能性能には影響ありません」と答えてお客様激おこでござる「傷だらけの冷蔵庫を機能性能に問題ないと言われて使うのかオマエは」あー。
製造ラインは「外観確認してから梱包出荷しているからウチじゃありません」
「梱包は?」
「一つずつ紙で包んで」
「それだよ」
「ウソでしょ?」
その梱包用の紙で製品の表面をサッと拭う。
「あー」
輸送中の振動は紙でゴシゴシするようなもの。で、上記の機序を説明して、お客様には新品を渡して再発防止報告書。
「でもそうなると紙で包むの変えないとダメですよね。その鉄道模型のレールはどんな風に?」
「両端を使い捨てのパーツで保持して真ん中はどこにも触れないように」
「オーディオアンプなんかはビニール袋で包んであったり」
「表面を加工してあったり。アルミ部分はドコにも触れないよう発泡スチロールで固定してあるのもあるわ」
「なるほど」
おお、初めて趣味を業務に応用できたぞ。後は機密。
「んで返品された奴どうします?廃却?」
せやから中身は機能性能に問題ない新品なんだろ。
「不良品との性能比較サンプルに使えばええやん」
たかが見た目、されど見た目。もうちょっとこう「このくらいならええやん」な優しい世界があってもいいのでは。
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