我ら銀河の辺境に住まい
(ひまわり)
地球、は太陽系の第3惑星でござる。
(ボイジャー1号)
太陽系は、渦巻き状の星の大集団である「銀河系」(天の川銀河)の中心より2万6千光年。「オリオン腕」と呼ばれる離れ小島みたいなところにある。
(Wiki)
直径10万光年=半径5万光年と言うから、東京-大阪間500キロに例えると、東京から見て名古屋あたりと言うことになる。ぶっちゃけ「辺境」である。
さて太陽系は銀河を2億年掛けて一周しており、これだけの星を束ねるには応じた巨大な重力源が中心にあるのでは、と言われていた。その中心はいて座の方向にあり、
(ステラナビゲータ)
いて座A*(いてざえーすたー/略号Sgr A*)と呼ばれる。理屈の導く重力源はブラックホールでしかし、この方向には塵とガスが充満し望遠鏡では見えないことから、赤外線や電波と言った他の電磁波によるアプローチが続けられた。そして、
(国立天文台/EHT Collaboration)
2022年、地球上の電波観測装置を一斉に動かしてSgrA*の映像化を目論んだプロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)・コラボレーション」により、その姿が明らかになった。御簾の向こうに影だけ見えた天長様、太陽質量の400万倍に及ぶ巨大重力源はやはりブラックホールであった。
光っているのは重力によって高温になったガスである。ブラックホール本体は中心の黒い部分に存在する。ちなみに「イベント・ホライズン」は日本語で「事象の地平面」と訳され、要は「そこから内側へ入ったあらゆるものは光の速さでも脱出できない」すなわちブラックホールの「領土」である。極端に巨大な重力の影響で時間の進み方が異なっており、もし、地平面へ向かって進む物体を外から見たら、物体が進む速度は地平面に近づくに従い遅くなり、ついには貼り付いて動かなくなるように見えるという。一方で物体は何ら変化なく事象の地平面へ入り込むのであり、その代わり、地平面を横切る一瞬に、彼方では永遠の時間が流れる(これ書いた方が「地平面」という用語の重みが増す)。
ちなみに、同じくブラックホールの可視化は、前にも紹介したが同じEHTチームがおとめ座の方向5500万光年に存在するM87銀河で成功している。
こちらは太陽質量の65億倍。当のM87のみならず、天の川銀河やアンドロメダ銀河も属する2億光年に広がる「おとめ座超銀河団」(Virgo Supercluster……ヴァーゴ・スーパクラスタ……この字面と響きよ)の重力的中心である。
私たちの細胞一つ一つがこれら遙かなる巨大ブラックホールと方程式で記述できる重力的な結びつきを持っている。
我らホモサピエンス銀河の辺境に命を得て住まい、その光の王国の中心に座する真の闇を垣間見たり。
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