けつあな確定な
ネタとしてツイッターで流れていた記事だが、元論文漁りに行ったら深刻で画期な内容だと判明した。
父親の心臓手術(連合弁膜症)の際に「最大のリスク」として言われたのが、肺機能の急性増悪(ぞうあく:要は突然呼吸と血液のガス交換が不能になること)であった。静脈血の二酸化炭素を排出し、酸素リッチな動脈血としてリフレッシュする肺機能(ガス交換)の置換装置は、今般のコロナで有名になったECMOなど広く知られるところとなったが、これらは心臓機能も代替するものの、何せ太もも経由で抜いて戻すだけであるから、四肢末端や内臓深奥まで行き渡らないことが多く、あくまで心肺機能の一時停止期間中にピンチヒッターで利用するものに過ぎなかった。逆に言うと肺機能を置き換えるシステムを人間は持たない、ということである。
一方世の中には肺を持ちつつも、それ以外の部位でもガス交換が可能な生き物があって、皮膚の他、タイトルに繋がるが消化器官であるところの腸でも行う種類がある。この研究は、哺乳類は直腸の構造上、座薬の存在で分かるように腸内から血液中へ吸収する能力を持つことから、血液へ酸素を送りこめるんじゃね?との予測を立てて実験したものだという。
結論から書くと、かつて「人工血液」とも言われたパーフルオロカーボン(C10F18)に酸素を溶かして肛門に注入したところ、呼吸能力が致死レベルのブタさんでも30分の延命ができた、という。
教授らはこれを腸換気(Enteral Ventilation :EVA)法と名付け、人間への応用をめざし、将来的には、人工肺や人工呼吸器の離脱促進(自力呼吸に戻すこと)や、呼吸不全の症状緩和を目的とした補助的使用(サブ肺)として利用できるようにして行く、とのこと。
人体組織を傷つけず人体機能をアシストできる。今後に期待したい技術だ。
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