VVVFインバータという奴(その4)
・電圧を変化させる方法
電流型?いや令和VVVFほぼほぼ電圧型だし、「電圧を変える」って説明で電流型を先に持ってきたら混乱するだろ。
「正弦波の電圧を変える」というのは↑こういうことを意味する。チョッパの説明で「オンとオフの時間を変更して、平均の電圧を得る」と説明したが、じゃぁ最初に説明した矩形波インバータでオン時間を半分にしてみようか。
何か違う。そう、正弦波の電圧変化カーブに合わせて、少しオン、長くオフ→次はもう少しオン……と、変化させて、この山なりカーブを平均電圧の繰り返しで作ってやる必要があるのだ。
作図が面倒くさいので名大のシラバスからパクってくる(おいおい)。
(ソース)
オンオフを繰り返して平均値を結んだ線が赤い線=インバータ装置で得られる正弦波である。このパクリ図をピク誌図4の回路図と比較すると、正弦波の上の方(電圧がプラス)に出ているパルスがスイッチS1S4のオンオフ、下側がS2S3のオンオフに相当する。
このパルスの幅を変えて所望の電圧を近似的に得る方法を、パルス幅変調方式(PWM=PulseWiseModulation)という。おなじみの用語、出てきましたね。
・周波数を変化させる方法
周波数を変える、というのはこういうことを意味する(上から下へ並べてある)。忙しい波の方が周波数が高い=モータの回転数が高い=電車としてはスピードが速い。
従って、周波数が高くなるに従い、オンする時間=パルスの幅を広げるタイミングも、再度狭めて行くタイミングも変えて行く必要があることを意味する。以上まで揃って、ピク誌図4の①~③の説明になる。「電圧と周波数を同時に変える」のは忙しいのだw
(※図の横の式の最後に付いてる+8とかいうのはこの作図ツールのどこに波形を置くかという指定なので無視して)
・電流型?
直流からスイッチパタパタPWMで交流を作るわけだが、大本の直流電源の電圧が変わってしまうと、PWMで出てくる電圧も変わってしまうことに気づくだろう。でもって、運転席の後ろにかぶりついて架線電圧計を見ていると(そんな奴あまり居ないと思うがw)、公称直流1500Vと言いつつ、1300から1700あたりまでフラフラしていることに気づくはずだ。
このふらつきを嫌って、インバータの電源電圧を一定にするべく更にチョッパを突っ込んであるのが西日本207系である。主回路構成はピク誌図3の「電流型」と一緒。
電圧型は上に書いたように周波数と電圧と両方を考慮しながらパタパタやるので忙しい=初期のインバータ装置では、制御するマイクロコンピュータもスイッチの仕事を請け負う半導体素子も、この忙しさに追いつけなかった。そこで、電圧は全部チョッパにやらせて、インバータは既出の矩形波かんたんインバータ動作にしているのが電流型(インバータ部の6つのスイッチは「電流を流すか流さないか」だけに使用しているの意味)である。ただ、この方式だと、チョッパ用とインバータ用と、両方ともモータ電流に耐えるデカい(=高価な)スイッチ素子が必要で、応じてデカくなるので、コンピュータで架線電圧をチェックしながらVVVFのパルス幅をいじれるようになると、鉄道車両用からは消えていった。
はい、以上で「VVVFインバータ」がナニやってるかの説明になります。これでもう一度ピク誌の1.および2.を読んでみてください。何言ってるか分かるはずです。そして、こういうのがある程度ニヨニヨしながら見られるはずです。
(つづく)
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