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2023年6月 1日 (木)

Stereo Sound ORIGINAL SELECTION Vol.8 「アリス」(SACDハイブリッド)を聞く @StereoSound_inc

●冒頭の能書き

「アリス」は昭和50年代に無双したフォーク/ポップバンドである。「チャンピオン」とか令和の現在まで歌い継がれている。そのベスト盤を、オーディオビジュアル情報誌「StereoSound」が現在の技術で高音質音源として発売したのが本作である。

Fxbkujoakaachay

同社の通販でしか買えない。

さてこういうリニューアル・リマスタリング版は当時のマスター・テープの音源を現下最新のデジタル技術でデータ化する作業を伴う。磁気テープの品質(磁力)はどう頑張って保管しても経年劣化が避けられないので、データ化しておくことは文化継承ということで大いに意義がある。ただ、

高音質技術は現下演奏されている音楽こそを「聞かせたい音」を、より生に近い質で届けるのがあるべき姿ではないのか。それは現在進行形の新しい演奏家・気鋭の音楽家を広範高品質に届けることと親和性が高いのではないか。演奏家・技術どちらにも目利きである音響雑誌が本来すべきことはそうした啓蒙・頒布(アウトリーチ)ではないのか。

1日前の記事でWakanaさんのハイレゾ版レビューを書いたが、ようやく、ポップスでも「質の高い音楽家の楽曲をハイレゾで出す」という流れが出てきた。得られる音質も高まってきた。またその書いた気鋭の楽曲を高音質で……というのはオクタヴィアレコードなどが担っている。「定評あるものを再発」は一定数確実に売れるので、商売としては正解なのだが、最新・最高が過去を振り向いているようで違和感を覚える。

ぜーはー。

●音質は良い

ハイレゾ音源の特徴は高域の位相再現性が良いことである。「超音波を録音してどうするんだ」という反論があるが、超音波が録れる=人の聞こえる範囲は余裕を持って捉えている、ということである(※1)。対して古い音源では当時の限界もあって「聞こえる範囲」全体がしっかり録れているとは言いがたい。高音の質は「透明感」「抜け」「見通し」と呼ばれる質感の高さ、そして定位に効く。アナログは「そのまま」録るので超音波も含めて録れているのであるが、そこに至るまでの電子回路が古さの故に動作がのろく、過渡特性が悪い=超音波はおろか高音が減衰してノイズが多い、こうなる。このため、当時の楽曲を聴くと高音情報の足りない「丸い」音が多い。で、これをリマスタリングすると、抜けや透明感を持たせたいのであるが、元々入っていない高音を補う方法はないので、ただ単にギラギラした感じでバランスの悪い「令和最新型」が出来上がったりする。そんな中。

本作はバランスを崩すことなく透明感を獲得することに成功している。ギターとドラムスがメインだから、高音(倍音)の有無がリアリティに覿面に効いてくるピアノや弦がほぼ無いというアドバンテージもあるにはある。しかし不足音域を無理矢理持ち上げた感や、応じたギラギラした張り詰め・押しつけ感はなく、スッと、耳元へ届く。音を左右に振ったり、広げたりという作為が少ない点もあろう。震える振動板の姿を見ながら全身を音に包まれるオーディオの醍醐味って奴を味わえるわ。

アナログ・マスターテープのプレイバックには、厳正にチューニングされたスチューダー「A80」マスター・レコーダーを使用。一方、Uマチック・デジタル・マスターテープは、ソニー「PCM1630+DMR4000」によって再生、44.1kHz/16bitのデジタルファイルとし、D/AコンバーターPrism Sound「ADA-8XR」によってアナログ信号に変換を行なっています。

 エンジニア歴38年、三浦瑞生は多くの名アーティストと音楽制作を共にしてきました。そのレコーディング人生の中で、今回初となるアリスのSACD化でこだわり抜いたのは、新たなる音の命を吹き込むこと。

 その為、試聴を重ね幾多の録音機材の中から三浦瑞生が選び抜いたのが、ラインアンプとして準備した真空管プリアンプ「DRAWMER 1960」です。音の鮮度を最優先するためここでは機材に搭載されているコンプレッサー機能は一切使用していません。

ソース……どうでもいいがUマチックを使ったPCMレコーダは44.056kHzじゃねーのかステサン※2)

真空管回路を馬鹿にする気はない。どころか、トランジスタでは追いつけない超高周波の電波・通信用はまだまだ真空管が活躍している。すなわち「過渡特性が良い」のである。変にこねくり回すより良い。

さて透明感を得ていると書いたが、それはCDともレコードとも、令和スタイルのハイレゾ音源とも違う、独特のバランスと音の粒子感である。真空管の音か?そうでもない。軽さ(スピード感)があり、重心は少し高域寄りであり、肌理細かいが質の良いざらつき感を伴う。ボーカルは音像大きいがシュッと立っている。クリーニングに出してパリッと仕上がったYシャツの白さと硬さを思わせる。近いのはアキュフェーズでCD再生して作ったカセットテープの……

……それこそ「スチューダーとドルビーAの音」か?(※3)デノンDCD-SX11→バランス→アキュフェーズE-470→バイワイヤリング→TAD ME-1なんだけれども。

●まとめ

ムリせず・素直で・でも令和ハイレゾとはちょっと違う、品位の高さを感じる。アリスの楽曲CD時代になって何度か再発されているが、その音質に満足できない向きなら買って間違いないわ。「チャンピオン」とか展開の恬淡さに凄みが備わる。

まー、古い音源になるほど難しくなると思うが、こういう方向ならやってくれていいわ。けど、リマスター商売ばっかやってんじゃねぇぞ。

※1:「シャノンの定理」に従えば、音楽周波数の2倍の周波数でデジタルデータ化すれば元通り復号できる、とされている。しかし、正弦波の0度~90度~180度~270度~360度でデータ出来れば確かに元通りになりそうだが、

(前の315度)~45度~135度~225度~315度~(次の45度)でデータ化しても、同じ周波数でデータ化しているのに
┏━┓
__┗━┛こんな波形にしかならない。つまり音楽周波数がデータ化周波数(サンプリング周波数)に近づくと、再現性は劣って行く。要するにシャノンの定理が成立するのは特定の条件の時のみである。これを避けるためにはサンプリング周波数をギャン上げするほかない。正弦波を書くのに10個のデータがあれば、多少データ化するポイントがずれても元の正弦波になるだろ?

※2:Uマチックは最初に家庭用に発売されたビデオレコーダーシステムで、そこに映像信号の代わりにデジタルオーディオ信号を書いたもの。当時のテレビ信号「NTSC」のカラー映像は、1秒間に29.97コマで構成されており、この倍数でなおかつ※1シャノンの定理で可聴帯域20kHzを確保するサンプリング周波数で29.97×1470=44056Hzが選ばれた。専門誌なんだからちゃんと書いとけ。それともデジタル演算でリサンプリングしたのかな?なおCDが44100Hzなのはこの派生(1秒30コマ)。またDVDや地デジ音声の48000Hzや、ハイレゾ標準系列をなすその倍数は、30コマと24コマ(フィルム映画は元々これ)双方に同期している。

※3映画音声を中心に今もその文字を見る「ドルビー研究所」が、スタジオで使うマスター・テープ・レコーダのノイズ低減装置として最初に開発したのが「ドルビーA型ノイズリダクション」。これは規模が大きすぎるため、一般オーディオ用に簡略化したのがドルビーB型、C型、そして知る人ぞ知るS型で、カセットデッキに搭載されていた。

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