令和最新型オーディオの指南書
スマホを買うとイヤホンが同梱されているので「音楽の聞き方」はそこで完結してしまう。スピーカー再生最大の魅力である「ステージ感・ライブ感」は聞いてもらわないと始まらないのだが、イヤホンしたまま店に入ったりするので、そういう機会自体にエンカウントしない。デッドロック。
さておく。
レコード・カセット・FMラジオに親しんだ世代が落ち着いたところで音楽聞こうと令和最新型オーディオ手を出すと、怒濤の横文字に面食らうことになる。NASからDLNA対応のネットワークレシーバーにfoobar2000で放り込んでUSB-DACからハイレゾ再生。そんなの、業者にネットワークの引き込みからパソコンの接続までやってもらい、電源入れるととりあえずYahoo!……という世代が、そのYahoo!でこれらを調べると、得られる利便と音質は魅力的だが、オーディオ機器を繋ぐだけではどうにもならず、ネットワークの知識も必要になる。業者任せで判らない。デッドロック。
聞かれたら答えられるが、図解と後から参照できるデータベースが必要で、口頭は解決にならない。ある程度判りやすく、ある程度レベルアップをそそのかす指南書が必要なのだ。しかし、ネットの試し読みを見る限り、漫画雑誌みたいなコマ割りに製品写真をベタベタ貼り付けたようなものばかりで、読む順番の導線、現状と出来ることと必要なこと、ステップアップの道筋が不明確だ。
で、丸善うろついて拾ってきたのがこれ。
今できること、上げた横文字類の読み方や解説、オーディオ組む上で必要な専門用語やスペックの見方まで網羅している。機材も10万~30万と「大人の買い物」として十全だし、アキュフェーズやラックスマンにも触れてその先を示している。著者も長く活動している評論家で、変なアクセサリーのページ以外は理屈も真っ当で問題はない。ただ、「買え」と言いがたい。なぜなら。
出版社があぼーんしたからだ。
故・長岡鉄男氏みたいな一言居士はいないし、針小棒大に褒めちぎるばかりの「評論家」ばっかりだし、なんつーかこう、「インピーダンスの解説からアプリでハイレゾを楽しむまで」網羅した書き物が作れないものかね。いやブログでダラダラ書いてもいいんだけどさ、「やっぱスピーカーだよね」って訴求力を与えられる、キラーワード、きっかけが思いつかない。
「聞いてみて」
「イヤホンでメロディと歌も聞けるじゃん」
そよ風のように音楽の流れる空間。
身体全体で受け取る大迫力のグルーヴ。
そして音楽を作る側の皆さんよ。あなた方がステージやスタジオで作り込んだ「聞いて欲しい」と意図した音達は、線路の下に落としたら見失うようなデバイスで再現できるものか?
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