南海トラフすら雑魚い
鬼界(きかい)アカホヤ。2024年4月15日現在絶賛入山規制中の火山島「口永良部島」の北側に潜む超巨大海底火山である。
大きな地震が起きる度にXのトレンドに南海トラフが上がってきてヤレヤレ思うのだが、この海底に開いた口に比べると南海トラフなんか「雑魚」の範疇である。
ちょくちょく書いているが、こいつが噴火したのは縄文時代、火砕流は海面上を突っ走って九州に到達し、彼の地の生態系・縄文文化が壊滅したと推定されている。今回神戸大学が噴出物の量の推定と噴火規模を見積もりました、という論文を発表。完新世(11700年前から現在まで)で最大の噴火と判明しました、というもの。
200年間、花粉が見いだせない。
噴火を挟んで出てくる土器が1000年(誤記ではない)違う。いずれもソース。
その火砕流はすさまじく、時速300キロで海面を突っ走り、内陸50キロまで地表の全てを引き剥がし焼き尽くした。火山灰は神戸ですら20センチも積もっている。ちなみに火山灰というのはマグマが弾けて2mm以下のサイズになって巻き上げられたもので、実質的にセメントみたいなモノである。雨が降ると水を吸い、そのまま放置しておくと固まる。古代ローマのコンクリートは火山灰で作られたと言われるゆえんである。地震と津波は復旧復古の道筋が見いだせるが(三重県の津は明応地震の津波で壊滅し30年ほど放置されていたようだが)、火山は堆積物で救助もままならず土地の構造を変えてしまう。「現代に起こったらどうすべきか真剣に考えよう」とかこの手の論文はみんな書いているが、答えなんてありゃしない。生き延びたければ逃げろ、これしかない。
我々現生人類は「トバ・カタストロフ」と呼ばれる7万4千年前の火山噴火とそれによる地球全体の寒冷化でわずか数千人にまで激減し、そこから復興してきたと言われる。そして鬼界(しかしスゲー名前だな鬼の世界かよ)噴火と「ちょくちょく」絶滅の危惧に晒されていることがわかる。7000年でスマホスリスリ出来るようになったが、時速300キロの「炎と煙の突風」とセメント原料が数ヶ月掛けて1メートル降り積もる現象に立ち打つ術は持たず、ぶっちゃけ縄文時代と変わっていない。「可能な限り抗い(無駄な抵抗をしw)ダメな時は逃げる」その判断のためにちゃんと勉強しておく。ネットの流言飛語におびえているよりよほど有意義なのではないか。
……日本神話における明らかに火山活動モチーフにした国産み物語や、聖書に出てくる滅亡譚など、火山災害の伝承の名残かも知れんね。
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