●冒頭の能書き
土日鉄道の制御システム・パワーパックは、1990年代からトミックスのワンハンドルタイプのコントローラDU-1
その常点灯チョッパ制御バージョンDU-101をずっと使っている。
鉄道模型の速度制御はダイヤル式が多いのだが、現物は加速→惰行→制動という走り方をするので、同じように動かした方がそりゃ本物っぽい。で、実物模倣タイプのうち、幅を取らないこいつらを使っている、ということなのだが。
問題がひとつ。トミックスのこれは「加速率」でノッチを選ぶタイプなのだが、最も緩い1ノッチでも電車はさておき、国鉄型の非力なディーゼルや機関車列車では加速が速すぎる。
なので、機関車列車を運転する際には加速をモッサリにできるよう、間にダイヤル式のボリュームを噛ましてある。
これの小理屈を書くと、鉄道模型の消費電流は加速(パワーパックの出力電圧アップ)と共に増加するので、速度を上げようとすればするほど、電流×抵抗=電圧によって、抵抗による電圧降下も大きくなる。すなわち、列車に実際に加わる電圧は低くなる、という結果を狙っている。本来12Vまで加速するところ半分の6Vしかかっていない。同じ時間で電圧が半分しか得られない。加速率として半分に出来る。こういう理屈だ。C59牽引の寝台急行10両編成。麦球照明のママなので消費電流は最大60mA×12+モーター300mA。合計1020mA(1.02A)。線路電圧6Vで大体実物換算100km/hくらいになるので、そん時の消費電流はざっくり半分で0.5A。抵抗30Ωを通すと(0.5)^2(これは2乗の意味)×30で7.5W……みたいな目論見でチバテクノさんにカスタムで作ってもらったボリューム(可変抵抗)とツマミをかぶせてコントロールパネル()に組み込んだのがこの2枚の写真。世界で2個だけの土日鉄道スペシャル。
●常点灯の小理屈
トミックスの常点灯は「LED(電球)は点灯するがモータは動き出さない」電圧をチョッパ回路で与えることにより成立している。
チョッパ制御はこうやってフル出力(Nゲージなら12V)を半導体回路でぶった切り(チョップchopし)、パルス幅を変化させることによって得られる電圧を変えている。「半分オンで半分オフなら長い目で見るとモータに掛かってる電圧は半分だろ?オンする時間を減らして行けば電圧は下がるし、増やせば上がる」というわけだ。モータの起動電圧はおおむね2~3V。比してLEDなら1V程度(ブリッジダイオードの電圧降下コミ)で点灯する。その1Vも実際には12Vを瞬間的に与えているのを繰り返すので、明るくしかし点滅しているわけだ。トミックスの「常点灯ダイヤル」は、このチョッパが作る最低電圧を「モータ動き出さない限界」にセットすることで、ノッチオンですぐ起動するようにするものだ。
●グリーンマックスコアレス動力の特徴
GMコアレスはメーカ自身も書いている通り、起動電圧が低いというのが特長だ。ぶっちゃけ0.8V位で起動する。これは……面倒くさいので委細は省略するが、要は12V与えてもそんなに回転数が上がらない(=速度が出ない)ので、低い方へ拡張して速度変化領域を少しでも広げようという設計思想に基づくものと考えている。ただこれは流石に低過ぎで、上の方でDU-1を貼っているが、この人は「非常ブレーキ位置」でも1V弱出ており、要するに非常ブレーキでも止まらない。そしてDU-101で件の「常点灯ダイヤル」を最小の位置にしても、線路電圧は1.5Vほど出ている。そう、常点灯が使えないのだ。なお、ワイヤレスのN-WL10は0.8V位まで絞れるのでギリ止められる。ただこのワイヤレスも101もそうだが、パルス幅はカクンカクンとステップ状に広がる(多分マイクロコンピュータのタイマーで作っている)ので、カクンと走り出しカクンと止まる。
で、上記抵抗器の出番なのである。幅が狭く出来なきゃ頭を削ればいいじゃない……抵抗器を通せば線路電圧は低く出る。が、狙いは良かったのだが、例えば811系なんか4両編成で室内灯付けても10mAも食ってない。チバテクノ30Ωで作ったが、これ通しても0.3V程度しか減らない。止められないのである。
●仕方ない。抵抗値を高くしよう
DU101の出力下限1.5Vを更に半分にすれば0.75Vとなり、モータは恐らく止まるだろう。ということでエクセルを使って必要スペックの目論見。
まずこれは横方向にボリュームの抵抗値を上げていった場合、縦方向にパワーパックの出力電圧を上げていった場合として、線路電圧を計算したモノ。パワーパック1.5Vのとき線路電圧0.75Vとすると、110Ω位与えれば良さそう。ただしそのまま加速しても5~6Vで頭打ち(それ以上加速しない)。
そん時抵抗で発生(消費)する電力。全部熱になるのでこの計算大事。最大で0.3W。抵抗の実消費電力はスペック上限の1/3までに抑えていれば特段問題ないので1Wあれば十分、となる。なお実際にはGMコアレスの編成は2両から8両まであるので、それぞれ倍半分を狙って「200Ω2Wの可変抵抗」に置き換えることとする。ムギ球照明の長編成はLEDに置き換える必要があるが、まぁ仕方がない。200Ωで5Wだの10Wだのデカくなりすぎる。そしてそのくらいならカスタムで作らんでも市販品で何とかなる。
東京コスモス電機製。秋月電子(アキバ)で1020円也。
置き換え完了。
2両編成キハ200も止められました。
コントロールの方法だが、まず、加速は普通にノッチオンでスタートすると、パワーパック出力電圧12V時、抵抗でカットされて線路電圧6V程度で頭打ちになるので、それ以上の速度は抵抗を下げて得るというスタイルにするか、抵抗をぐるぐる回してスタートし、以降パワーパックのノッチを使うかどっちかになろう。SLの場合後者の方が加減弁ぐるぐるみたいなフィールでリアルかも知れない。止めるときはブレーキノッチで電圧最小になってもまだダラダラ動き続けることになるので、抵抗回して所定の位置に止める、という方が、十分に減速して停止位置まで近づき、最後ピタリと止めるという実物の運転法に近くて多分リアルだ。
●まとめ
・200Ωの可変抵抗入れました
ネットを漁ると、ボリューム類をGMの動力車に積み込んだ方も居られて皆さん苦労されてるなぁと。ただ、ボリュームを車両に積んでしまうと上記「速度の頭打ち」はどうしようもなくなるというのはデメリットかなと。動力車の数だけ改造する必要もあるしね。一方こっちのデメリットは、列車全体の出力電圧が下がるので、照明が少し暗くなる可能性があるのと、列車の消費電流によっては抵抗の定格電力の大きなものを付けねばならず、応じたコストが掛かること、となる。一方メリットは加速度コントロールにも使えること。スタートダッシュでE231を追い抜いて行くC57とかイヤだろ?w
願わくばGMさんにはダイオード2直位突っ込んだ「モータ印加電圧降下キット」でも作ってくれねぇかなあと。線路電圧10Vでもスケール160km/h相当位は確保できるでしょ。
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