名選手かならずしも名監督にあらず2024
プロ野球中日ドラゴンズは今日阪神タイガースに文字通り「ボコられ」最下位に転落した。立浪監督就任後3年連続で下位低迷、ということになる。阪神ファンなので深く追っていないが、
(ワイと同学年じゃ)
「いきなり監督」に就任している。選手兼監督という事例は以前あったがそれは稀で、一般にコーチや二軍監督などを経て監督になるというのが「王道」だろう。例えば阪神岡田監督は1995年に引退後、96年からオリックス二軍助監督~古巣の阪神に戻って二軍監督を経て2003年から阪神の監督(1回目)、09年オリックスの監督、しばらくテレビの解説など務めた後、2023年から阪神の監督(2回目)となっている。
で。
立浪という選手は「天才」である。高校野球で春夏連覇を達成してドラゴンズへ入団、新人王とゴールデングラブ賞(守備がスゴイ)を同時受賞している。簡単に言うと「考えずとも的確かつ一流のプレーが出来る(できてしまう)」。こういう人は往々にして「どうしたらそれが出来るのか説明・指導することができない」場合が多い。なぜなら勝手に出来てしまうので「どうやって」そうできるか判らないからである。ちょくちょく引用するが、同じ天才バッターであった長嶋茂雄(読売ジャイアンツ終身名誉監督)が受けたインタビューにこんなのがある。
「長嶋さん、どうやったらそんなに打てるんですか?」
「いい球が来たらね、こう、スパーンと」
「いい球」を選び「スパーン」と的確なバットコントールで打つのだ、というわけだ。いい球を見極めるのも、球種に合わせてどうバットを出して行くのかも、選手たちは経験と技術で積み上げて行くモノなのだが、「スパーン」の一言で終わってしまっている。
こういうのを「名選手必ずしも名監督にあらず」と言う。立浪も類例だろう「この位やってくれ(オレなら出来る)」というある意味「思い込み」で采配するので、適材適所になりがたく、欲しい結果が得られにくい。となるわけだ。ちなみに岡田監督はバッティングについてこう語っている。
「バットを立てて持って、ストレートに合わせてレベルスイングしとけ。変化球は泳いでもええんや。当てれば何かが起こる」
ちょっと貸してね。阪神大山選手。バットを立てて持ってますね。ここからスイングしようとすると、バットが重力に引かれて倒れる力を重畳できるので、ある程度スピード(角速度)を載せたスイングが出来る。上から下への動きなので回転軸もぶれにくい。そしてレベルスイング=水平にバットを振ればまっすぐ前に飛んで行く。ピッチャー返しとかセンター返しとか言われるバッティングの基本。泳ぐというのはバットがボールに当たるタイミングがずれて体勢を崩した状態を言うが、「スピードの乗ったスイング」なので、それなりの打球になるだろ、という。素人でも理解しやすい。
戻って。
立浪は「未経験で早すぎた」の一言に尽きるのがお分かり頂けただろう。「なぜ」そうなるのか「どうすれば」上手く行くのか、現状と期待する結果を埋めるには「誰に何をさせる」のが的確か……
「そんな言い方じゃ判らないよ」
これを誰かが彼に言わないと、何がダメなのか彼には判らないであろう。
……会社組織でも家庭でも一緒よ。「何でこんなことが判らない(できない)の?」じゃなくて、現状と目標の差違を認識させ、不足する部分をどう乗り越えるか考えるように導かないと。
コーチでもテレビの解説でもいいから「人に説明できる」勉強をして、「人を指導できる」スキルを身につけて、また戻ってらっしゃい。ドラゴンズ選手個々人はレベル低いとは思わないわ。
« 中秋の名月、ですが | トップページ | 暑さ寒さも本当に彼岸までなんだろうなぁ、あ? »
コメント